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あの眠り

この1年くらいで眠りが浅くなった。
もともと、友人に「おやすみ3秒」と言われるくらい寝つきがよく、泥沼に沈むように深く眠れることが自慢だったのに、最近は眠って1時間は1時間半ほどすると、ぱちりと目が覚めてしまう。

若いころは眠れないことにあせりを感じたけれど、今はもう慣れたもので、喉の渇きを癒し、トイレに行って、ベッドに戻ったらなにもなかったように、また寝る前のルーチンである本読みをしている。
ひどいときはこのルーチンを3回くり返す夜もある。
でも、あせることはない。
ひと晩くらい寝なくても死なないから、そう自分に言い聞かせて、また眠気に襲われるのを待てるようになった。

それでも、ときどき、また眠れないんだなあとベッドに腰掛けてささやくような声を出す夜もある。
誰にきかせるでもなく。
マンガの吹き出しのように、ぽそっと言葉を発する。

昨晩はルーチン中に、ふいに大学の図書館を思い出した。
高校を卒業してすぐ通った方と、通信で通った方のふたつの大学図書館。
どちらも好んで座る定位置にしている席があり、友人にもやっぱりここにいた、とよく言われていた。
もちろん調べものをしたり、レポートを書いたりもしたけれど、わたしはよくそこで居眠りをした。
湿気た匂いにひんやりした机。微かに感じる人の気配。
腕に乗せるおでこの収まりのいい位置が決まると、安心してすとんと眠れた。

深い深い水の底に落ちてゆくような、それが永遠に続くような、あの眠り。
憧れる。
あの場所でまた眠らせてはくれないだろうか。

# by fastfoward.koga | 2022-09-29 21:50 | 一日一言 | Comments(0)

代替可能

 今年に入って、リーディンググラスをかけるようになった。
 1年ほどは遠近両用のコンタクトを使っていたが、遠くも近くも見えづらいことに耐えられなくなってしまった。見た目第一主義という意地は、レンズ代と見えないことへの腹立たしさに勝てなかった。
 初めは仕事のときにだけ掛ければよかったところが、今では休みに出かけるときには持ち歩くようになった。お店のメニューをなんとなくの字面で指さし注文したら、想像していたものと違っていたという経験を経たからだ。

 小さい字が見えづらいと、減っていた読書量がさらに減り、そのことでも心の中で葛藤が起こっていた。
 それでも今年に入って、早めに寝室に移動するようになってから本を開く機会が増えてきた。眠る前なので、ふとんにもぐり込んでなおかつ裸眼で読める。裸眼サイコー! だ。
 
  メガネを掛けたり外したりにめんどくささを感じると、また遠近両用コンタクトに戻そうかという思いが頭をよぎる。
 でももうこの点において快適さなど皆無。だったらせめて気分の上がるメガネを掛けたい。
 今狙っているのは、丸いフレームのメガネ。縁の種類がゴールドやべっ甲ぽいものなどいくつかあるので、買うぞと決めてお店に向かったときには思う存分迷おうと心に決めている。
 老いることは失うものはあっても別のもので補充できるのだと、最近実感する。

 
 
 
 

# by fastfoward.koga | 2020-11-25 22:26 | Comments(1)

ビールの味

 渦中、コロナで変わったことなどないと思っていた。
 確かに在宅勤務が多くなり、コンビニの店員さん以外人と話さない日がつづき、誰かと一緒にゴハンを食べることがなり、両親と数ヶ月も顔を合わせない日が増えただけで、その程度だと。
 子どもがいたり、フリーで働く友人の話を聞いていたら、自分はさほどではない気がしていた。
 劇的になにかが変わったように受け止めないのは、すべてが自然の流れに乗ってやってくるからだろうか。

 第三波がやってきている昨今、ふと思い出したのは四月のある日。
 行きつけのクラフトビールの店にテイクアウトを買いに行ったこと。
 店長がひとりで、テイクアウトのお客さんがぽつりぽつり来ていた中、ちょっと待っててくださいと声をかけられ、その合間に酒類提供が可能な時間ですよの親切な言葉にのってビールを一杯注文した。
 要請の出ていた営業時間ぎりぎりまで、店長と話しながらちびりちびり飲んだ。
 いつもは頼まないパイント。飲むたびにマスクを下ろしても、店で飲めることの意味を噛み締めていた。

 また、自粛の日々がきても、あんなビールはできれば飲みたくないなあ。  

# by fastfoward.koga | 2020-11-24 22:29 | Comments(0)

言葉数珠つなぎ


by fastfoward.koga