言霊の幸わう国

岩手懐古・録  【飛び立つ】

 2月8日(日)、5時起床。
 ひとり黙々と支度をし、洗面道具や化粧道具など使ったものを最後に詰めてキャリーバックのジッパーを閉めた。
 寝ている親を起こさないように、静かに部屋を出る。
 最後に歯を磨きながら、ちょっとだけベッドに置きっぱなしにしたものが気になって1度部屋に戻って片付けた。

 6時10分に、予約していたタクシー会社のシャトルバスがうちの前までお出迎え。
 ジーンズの裾をインしながら、冬旅にはかかせなくなったカーキの長靴を履く。
 慌てているものだから玄関でひっくり返りそうになっていると、チチが階段を下りてきた。
 小さな声で行ってきますと言うと、気をつけてという返事。
 もうすでにポストに入っていた新聞だけ手渡すと、チチはわたしが車に乗り込んだあとも外に出て見送ってくれた。
 そのチチに小さく手を振る。
 こういうやりとりは、朝早い旅の出発時にしかできないことだなと思った。

 シャトルバスは予定どおり、7時30分に伊丹空港へ到着した。
 途中高速に乗っているときに友人Y嬢から遅れるとのメールが来ていた。
 チケットを持っているのはコガトラベル代表のわたしなので、事前にチェックインしておくからいいよと返事をしておいた。
 久しぶりにJALのある北ターミナルのロビーに足を踏み入れると、中は各地への朝1番の便が集中しているせいでごった返していた。
 早速チェックインを済ませ、手荷物を預けた。
 あとはのんびりY嬢を待つだけと、空いたシートで読みかけの文庫本を開いた。
 新潮文庫の宮沢賢治の「注文の多い料理店」だ。

 なんとか岩手に到着するまでには表題の「注文の多い料理店」まで読んでおきたいと、ざわつく空港のロビーで文字を追った。
 でもY嬢がそろそろ来るかなと思うと気になってしまい、結局連絡のあった到着時間の5分前にはページの間に指を挟んだまま、顔を上げてそわそわしていた。

 Y嬢とともに現れたサプライズ彼氏に見送られ、混んでいるだろうからといそいそと2階へ向かった。
 わたしは朝食用のベーグルひとつだけを慌てて買って、手荷物検査をパスし出発ゲートへと進んだ。
 1階ロビーの案内板には青森や札幌あたりは雪による悪天候を知らせていたけれど、Y嬢に言われて、いわて花巻空港に「△」の印がついていたことを思い出した。
 強風らしいで。あかんかったら仙台空港やって。
 わたしはふーんと、楽天的な返事をした。
 ちょっと予定が狂うのは惜しいけど、もし仙台着になってもなんとかするし、それを楽しめるだけの余裕はあると内心自負していたのだ。

 出発ゲートに着くと、すでに案内は始まっていた。もうロビーにはほとんど人はいない。
 起床から搭乗まで3時間45分。
 さくさくとことは進み、いよいよ機上の人となろうとしていた。
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by fastfoward.koga | 2009-02-12 20:40 | 旅行けば | Comments(4)
Commented by cool-october2007 at 2009-02-13 21:49
ほうほう〜、岩手に行ってこられたんですか〜。
まだろくに訪ねたことのない地ですが、興味あるなあ。
Commented by calligraphy_m at 2009-02-13 22:51
コガさん!旅先からの臨場感あふれる(!)お葉書ありがとう。
実は、お葉書が届いた前日に、真っ青な表紙に惹かれて
「新編 銀河鉄道の夜」を買ったばかりだったのです。
おおー、なんて偶然なんだろーと、この世の不思議さ(おおげさ?)を思ったのです。
これから続くコガさんの旅の情景を想像しながら
「新編 銀河鉄道の夜」をリンクさせて読むことになるでしょう。
楽しみです。
Commented by fastfoward.koga at 2009-02-14 19:35
coolさん、こんばんは。
そうなんです。岩手と、あと角館に行ってきました。
昨年夏に行きそびれたのでリベンジの旅だったんですが、また少しずつ書いてゆきますので、よろしければまた読んでください。
Commented by fastfoward.koga at 2009-02-14 19:37
calligraphy_mさん、こんばんは。
失礼な一文から始まるハガキを送りつけて、すみません(笑)。
でもほんとうにお腹がすいていたのです・・・。
つい正直に書いてしまいました。

真っ青な表紙の「新編 銀河鉄道の夜」!
なんという偶然でしょう!
読書の邪魔にならないように、旅の出来事を綴ってゆければいいなと思います。ハイ。