言霊の幸わう国

岩手懐古・録  【角館返り咲き】

 岩手2日目の朝。
 部屋のカーテンを開けると、盛岡駅の向こうに岩手山が見えた。
 昨日は曇り空だったので、初めて姿を見ることができた。
 その土地土地にシンボリックなものはいくつもあるけれど、いつもそうなるだけのものばかりだなと思う。
 岩手山ももちろんそうで、ここに住む人たちを見守っている大らかさを感じる姿だった。

 と、朝からゆっくり岩手山を眺めていたわけではなく、実は携帯のアラームを目覚ましにしていたのに鳴ったのか鳴らなかったのかそれさえもわからないまま、予定より遅れて目が覚めた。
 Y嬢とふたり時間差でテキパキと支度をしたあと、人の少なくなったガランとしたレストランで朝食を済ませた。

 事前に計画を立てたときに2日目をどうするか話し合った結果、岩手を少し離れ角館に行くことにした。
 わたしは2度目の角館。
 違う季節にと思いつつ、また冬の武家屋敷を見たくなって行ってしまった。
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 盛岡駅から秋田新幹線こまちに乗り、一路角館へ。
 偶然にも支度をしながら見ていたNHKで角館が紹介されていたばかりで、わたしは喉の痛みを疎ましく思いながらも再びその町を訪れることにうれしさを感じていた。
 移動時間は1時間弱。
 揺れがきもちよくて眠ってしまいたいと思ったところで、角館に到着した。

 駅を出ると持参していた角館の地図を広げ、ざっと今日1日の順路を確認した。
 この地図は、前回2年前に来たときにホテルでもらった地図で、ダウンのポケットに入るように小さく折り畳んだクセがついたものだ。
 わたしは気に入った町の地図は持って帰って、ガイドブックに挟んで置いておく。
 今気付いたけれど、そうやって取ってある地図はまた日の目を見る機会が必ずある。
 それは、行きたいと思う場所にはちゃんと行ける、思いは通じるということなのだと思う。
 そんな縁深い地図を片手に、わたしとY嬢は駅から桧木内川のほうへと歩き始めた。

 まずはルネ・ラリックの作品が多く展示されている大村美術館へ。
 以前来たときに作品の多さと、展示の素晴らしさが気に入って、今回必ず行きたいと思っていたところだ。
 が、わたしはちょうど体調の悪さがピークで、作品の良さを引き出すために落とされた照明が逆に眠気を誘い、館内に置かれたソファで目を閉じたくなった。
 それでも中をふた回りはし、満喫して外に出た。

 あーやばいなと思いながら歩き出し、Y嬢に次は武家屋敷なと言ったところで、おかしな話だけれどむくむくと元気が湧いてきた。
 武家屋敷。
 それはたちまちわたしのテンションを上げるのだ。

 よっしゃ行くでーと気合を入れ、角館のメインストリート武家屋敷通りにやって来た。
 まずは端からと石黒家、青柳家、小田野家と順に見て回った。
 1番大きな建物の青柳家では入口で簡単な解説をしてもらい、その話にいちいちへーとかほーとか大仰な相槌を打った(ある種これは職業病)。
 相槌は話をしてくれている人への礼儀でもあるけれど、やっぱり昔の人の暮らしぶりには感嘆が漏れるのは正直なきもちであることに変わりない。

 武家屋敷はどこでもそうだけれど、中に入るとたちまち体温を奪われる。
 今回も靴を脱いで床を踏みしめながら歩くと、足の裏から冷えが上ってきた。
 どこでだったか長靴を脱いだら靴下から湯気が上がり、Y嬢と湯気湯気と笑った。
 そんな冷えにこれはあかんと、持参した靴に入れる小さなカイロをふたりして使った。

 冬の旅は、寒い。
 というか、いつも寒い町寒い町を選んで旅をするから当たり前なのだけれど、その寒さとどうつきあって旅をするかが楽しい課題だったりする。
 そこで考えたのは、銭湯や温泉の立ち寄り湯を利用すること。
 体を温めるのはやはりお湯に浸かるのが1番! と、その日はY嬢にごくごく簡単なお風呂セットをご持参いただくようにコガトラベル代表としてご案内していた(ちなみにわたしは日本手ぬぐいを2本持ってゆく)。
 角館には「かくのだて温泉」というところがあり、行くことが決まったときから予定の中に組み込んでいたのだ。
 入湯料は500円! 少し熱めのお湯でリフレッシュしたあとは、お腹すいたねーとほかほかした体でお昼を食べに行った。

 お昼はせっかく秋田だしなーと比内地鶏を頭に浮かべつつ、結局稲庭うどんを捨てきれず温かいうどんをいただいた。
 実は前回角館で比内地鶏の親子丼を食べたのだけれど、鶏のおいしさの一方で味付けが濃すぎてあとで喉が渇いてしまったのだ。
 今回は温かいうどんということでだしの味付けはどうかという心配もなんのその、おだしもおいしい稲庭うどんでお腹は満たされた。

 遅めの昼のあとは桧木内川の堤防を歩いて、Y嬢と桜の木に花が咲いたところを想像したり。
 ガイドブックに載っていたもっちりまんじゅうの種類の多さに迷ってみたり(おいしいもので迷うのは楽しい!)。
 西宮家でお茶を飲んでほっこりして、最後は安藤家を覗いて角館駅へ向かった。

 今回の角館への旅で心残りがひとつ。
 新潮社記念文学館にまた行けなかったこと。
 なぜか毎回月曜日に行くもんだから、休館日で入れなかったのだ。
 これはまた角館へ行けということだな。
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 これは、山形新幹線つばさです。
 双子ちゃんです(撮影:2008年夏)。
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by fastfoward.koga | 2009-03-09 21:18 | 旅行けば | Comments(6)
Commented by cool-october2007 at 2009-03-09 21:58
こまちの写真がイイ感じですね。
僕は来月下旬に角館を訪問すべく、宿を押さえました。
桜の開花予想にハラハラドキドキしてます。
Commented by fastfoward.koga at 2009-03-10 18:06
coolさん、こんにちは。
こまちの写真、イイ感じですか?
鉄子、渾身の1枚なもので(笑)。

桜の角館、いいですねー。
いいタイミングで行けることをお祈りしています!
写真、楽しみにしてますね。
Commented by hanautaco at 2009-03-11 15:03
こまち!
ピンクのラインがキュート!
Commented by fastfoward.koga at 2009-03-11 19:57
ハナウタコさん、こんばんは。
ピンクと紺が洗練された感じしますよねー。

こまちに反応していただいたようなので、おまけを追加しました。
鉄子ですから、電車の写真は旅の必須です(笑)。
Commented by cool-october2007 at 2009-03-15 16:17
おおー、つばさだー!
いいなーいいなー。
僕はどちらかと言えば飛行機派なのですが、鉄道撮りもいいですねー。
Commented by fastfoward.koga at 2009-03-15 21:12
coolさん、こんばんは。
わたしは乗り物全般すきですが、やはり写真収まりがいいのは新幹線が1番かなと思います。
つばさはグレーとグリーンのラインが渋いですよねー。