言霊の幸わう国

高速バスのシンデレラ ~四国春旅

 四国への旅は、大阪駅発の高速バスから始まった。
 仕事を終えたあとこまごました用事を済ませながら時間を潰し、最終の21:20で徳島へ向かった。

 座席は運転席の真後ろ。
 リュックは隣の座席に置き、文庫本を開いて出発を待った。
 読んでいたのは、『重力ピエロ』。
 映画の公開前に復習しておこうと思って、旅のお供にした。

 バスは湊町バスターミナルを経由し、阪神高速湾岸線を走り出した。
 しばらくはカーブが続き、北港あたりからすーっと窓からの景色が広がった。
 間近は海で、少し向こうに尼崎の町の灯りが見えた。
 本は開いてみるものの、外の景色に気をとられてうまく文字が追えなくなった。

 高速バスというといつも乗るのは夜行バスばかりで、夜の景色を眺めながら走ることはほんとうに珍しい。
 しかも外はキラキラしていて、ぐーっと胸にこみ上げるものがあった。
 胸の高鳴りは、今日だけは特別に遅くまで起きてていいよ、と言われたこどものころの大晦日を思い出させた。

 いつもは見ることのない景色は、久しぶりのひとり旅への意気込みを強くさせる。
 ひとときの記憶も感情もこぼすことのないようにときもちは踏んばるのだけれど、いとも簡単にキラキラに混じって猛スピードで後ろへ後ろへと流れていった。

 徳島駅に到着したのは23時59分。
 バスを降り、目的のホテルへとまっすぐ向かった。
 そこは、24時を過ぎると宿泊料金が安くなるシンデレラプランというものがあるのだ。

 ちゃっかり者のシンデレラは、24時07分にチェックインを済ませ1日を終えた。
 さあ、明日から列車の旅が始まる。
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by fastfoward.koga | 2009-04-22 22:45 | 旅行けば