言霊の幸わう国

追う背中

 夕暮れ時に車を運転していたら、信号待ちをしているときにふと鼻先に感じた匂い。
 あ、雨の匂いがする。
 声には出さずに、胸の中で言葉にした。

 雨の匂いがする、という短文で思い出す人がいる。
 その人が雨の匂いをさせていたということではなく、雨の匂いの話をしたのだ。

 電話でのその会話をリフレインしていたら、今日誕生日だということも思い出した。
 毎年送っていたバースデイカードは、同じことしか書けなくて絞りだして言葉を紡いだ。
 届くと、たいていすぐありがとうという電話がかかってきた。
 すぐじゃなくても、ありがとうはいつも言ってくれた。

 どんなことも、あなたが選んだことはあなたらしいとわたしは思うと思う。

 そんなようなことを書いたことがある。
 ズルイなあとあとで電話がかかってきた。
 わたしは彼の逃げ道を遮断したのだ。

 でもそんなことをしなくても、彼はやる人だ。
 ときどき目にする名前を見れば、その姿を見ていなくても想像はできる。
 わたしはその見えぬ姿に、いつまでたっても励まし続けられている。
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by fastfoward.koga | 2009-04-24 22:02 | 一日一言 | Comments(4)
Commented by tabikiti at 2009-04-25 10:24
春の雨の匂いは蘇る土と植物の匂いがよくしますね。

今時の家電製品は防菌、防臭が流行りらしい。
防菌が過ぎると免疫の無い人になり
防臭が過ぎると感覚の無い人になるのだけれど^^
Commented by mohariza6 at 2009-04-25 12:25
「雨の匂い」とは、いい言葉ですね。
私は、鼻が悪く、「匂い」はせず、どうしても視覚的にしか捉えられませんが、tabikitiさんの言葉は、当たっていて、鋭いですね。
<防菌、防臭>そして<無臭>を追いかける現ニッポンは、どこか、人間、自然の情緒が欠ける世界に邁進しているように思います。
Commented by fastfoward.koga at 2009-04-25 22:02
太美吉さん、こんばんは。
そうですね、確かに同じ雨の匂いでも季節によって違うのかも。

何ごとも度が過ぎると、ダメですね。
防菌も防臭もありがたいと思っていましたが、言われて見ると免疫も感覚もなくなるのはすごく怖いなあ。
Commented by fastfoward.koga at 2009-04-25 22:06
mohariza6さん、こんばんは。
雨の匂いとはふいに出た言葉でしたが、湿った空気に土の匂いが混じって鼻先に流れてくると、わたしは懐かしさを感じます。

mohariza6さんの「自然の情緒」という言葉に頷きました。
日本はどこへ行こうとしているのでしょうね。