言霊の幸わう国

ためらいをひと越え

 体調が少しでもおかしいと感じると、自分の弱い部分が、すぐに自問自答する。
 今自分はなにかストレスを感じているのだろうか、と。
 あれか、これか、と当たりをつける間に、打たれ弱く、気にしぃで、くよくよするところがストレスを栄養ににょきにょきと育っていつか己を食い潰すんじゃないかと怖くなる。
 いつだって不要な不安の種を蒔くのは自分だから、しばらくして落ち着くと我ながら厭きれるのだけど。

 K嬢に薦められた白岩玄の『空に唄う』と、ニック・ホーンビィの『いい人になる方法』を同時進行で読んだ。
 頭の中でいくつかの厄介事を思い浮かべながら、どちらの主人公にも感情移入をした。
 人との接し方、自分の感情や意志の表現の仕方、善とは思いやりとはなにか。
 奇しくもそんなことに頭を悩ます主人公が登場する本を手にし、わたし自身も同じように答えを求めた。
 が、しかし。
 小説とは、問いに対する答えが書いてあるものではない。
 半分そう信じ、半分裏腹な期待をし、両方読み終えた。
 もちろん、答えがそこにあるわけはなかった。
 
 その結論に達する前、電車の中で『いい人になる方法』を広げながらふいに文字を追う目と頭が止まった。
 フリーズ状態。
 次に動き出したとき、厄介事が元になっている心のもやもやを晴らそうと思ったらするべきことはひとつだと今得られる答えに行き着いた。
 信じたいなら信じるしかない。
 信じたなら待つしかない。
 やるべきことが見つかったらやるしかない。

 厄介事を厄介事だと認識すると、逃げ出したくなる。
 目を瞑ってやり過ごしたい。
 なかったことにしたい。
 そういう思いが、メリーゴーランドのように頭を過ぎる。
 この数日もずっと逃げ道がないかと、頭や心のどこかで密かに探していた。

 先日友人に最近どう? というメールをしたら、何通かのやりとりのあとスランプ気味だと返事がきた。
 でもそのあとに、「頑張るしかないねんけどな」という言葉が続いていた。
 やっぱりそうやんな。
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by fastfoward.koga | 2009-05-12 22:12 | 一日一言