言霊の幸わう国

隠れ家

 ときどき、無性にホテルに泊まりたくなる。豪華なホテルでなく、ただのビジネスホテル。スムーズにギアチェンジできなくなると、大げさに日常から離れたくなるのだ。本の世界にのめりこむのも、旅に出るのも、そういうきもちからきているのだろう。
 今日も会社のそばにあるビジネスホテルの前を通ったとき、並んでいる窓の一室を想像した。
 こじんまりした清潔で素っ気ない部屋。ぐるっと見回してみると、気分の高揚はせずとも荒熱がスーッととれていく。白っぽさを強調した部屋では、余計なものなど削ぎ落とさなくては、という気になる。
 そばには誰もいない、世界からほんの少し切り離された空間。シンとしてスカスカした感じのするあの場所に紛れ込みたい。
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by fastfoward.koga | 2009-05-13 23:34 | 四〇〇字・課題