言霊の幸わう国

黴臭さ

 図書館は黴臭い匂いがする。
 それはどこも同じなのだろうか。

 フィールドワークの続きで1日が始まり、予定を全部こなして集合時間より早めに大学へ戻った。
 昨日と今日はオープンキャンパスが開催されていて、いつもならゆっくりできる場所が人でわんさか賑わっていた。
 1日の80%くらいの力を使い切っていたわたしは、とりあえず静かな場所へと図書館へ向かった。

 ほんの少し手持ちの文庫本を広げたあと、20分ほど机につっぷした。
 机の上に両腕を重ね、その上に頭を乗せた。
 重い重いと頭の置き位置が決まるまでの間、目を閉じながら高校を卒業したあと通っていた大学でもこうして居眠りをしたことを思い出していた。

 以前の大学の図書館は、2階から4階まで吹き抜けだった。
 中央はがらんとしたままで、そこを囲むように3人掛けの机が規則正しく輪をつくって並べられていた。
 そのうちの1席がわたしの定位置で、確か心理学関連の本が並んでいる棚のそばだった。
 いつもわたしがそこにいることはゼミの友人たちにも知られていたので、荷物があるだけでも、例えぐーぐー寝ていても、わたしが気づくまでよく待ってくれていた。

 なぜだろう。
 最近よく近所の図書館へ行くけれど、 そこではそんな匂いはしない。
 あれは大学の図書館でしかしないのか。
 それとも今日は雨だったから、抽斗の奥の記憶が刺激されたのだろうか。

 湿気まみれの空気を体中に漂わせ図書館の入口を抜けると、ほんの少しの時間でべたつきは感じなくなった。
 窓のない図書館の隅の席を陣取って過ごした、昼のまどろみ。
 眠ったような眠ってないような。
 もっと眠ったほうがよかったかなと頭を上げたものの、さっきよりはずいぶん体も頭の重みも消えていた。

 そうそう、これも以前と同じだった。
 そう思うことが、その時間が、とても愛しい。
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by fastfoward.koga | 2009-06-21 21:03 | 一日一言