言霊の幸わう国

草の香り

 人の言葉は、目には見えないのに時としてその質感を伝えることができる。
 宇宙から帰還した若田光一さん。
 記者会見で彼の発した言葉に、わたしは身震いした。

「ハッチが開いて草の香りがシャトルに入ってきたとき、地球に迎え入れられた気がした」

 実感した、そのままを言葉にしたのだろう。
 そこには計算も思惑もない。

 言葉は怖い。
 嘘もつくことができるし、正直さを思う以上に表わすこともできる。
 それをどっちに転がせるか、意のままにはならない。
 でも意のままにしてしまうのも、違う。
 
 どれだけのものを感じて、どれだけのものを受け止めるか。
 相手に対してなにかを伝え、発する自分に正直であろうとするならば、そうすうるしかないのだ。

 若田さんのこの言葉を聞くほどに、鼻腔の奥まで広がる草の香りを思い出す。
 それはなんと青々しいことか。
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by fastfoward.koga | 2009-08-02 20:24 | 一日一言