言霊の幸わう国

7月の巻

1  小山薫堂   フィルム  
2  本谷有希子  生きてるだけで、愛
3  秦建日子   アンフェアな月
4  河野仁昭   京都文学紀行
5  伊坂幸太郎  週末のフール
6  堀江敏幸   背表紙の彼女 
7  吉田浩美   a piece of cake

(テキスト) 
・吉本哲郎   地元学をはじめよう


 7月は毎夜、6月末に買った堀江敏幸の『背表紙の彼女』をちびちびと舐める寝酒のように、読んだ。
 それはもう以前にも書いたように、毎夜の逢瀬。
 本を開いて文章を目で追うだけで、眠る前だというのに胸が高鳴った。

『彼女のいる背表紙』には、たくさんの本(作品)が登場する。
 著者が読んだ本を、その当時の版、その当時の訳を元に紹介しているのだけれど、所謂書評とは違う。
 帯の裏にも書かれてあるが、本にまつわる随想集だ。

 読み進めると、著者が1冊1冊をどれだけ集中しかつ深く読んだかが想像できる。
 それは、同じように読んで書け、と言われたら足元がすくむようなことだ。
 それくらいの熱量がないとできないのではないかと素人は思うくらいに、取り上げる作品ひとつひとつの世界と著者自身の日常が融合され、さらにそこからまた別の作品が出来上がっている。

 この本には、48の随想がが収められている。
 その中でわたしは「おばあちゃんは二人いる」を読んだあと、枕に頭を乗せ腕を伸ばして高く本を掲げさらに腕を縮めて本を抱え込んで夜中に叫んだ。
 もーっ。
 嫉妬するほど、憎らしく、感触のある作品だった。
 じりじりと焦がせたその思いは、まだ胸に染みついている。

 この本はぺらぺらとページを捲ると、ぷんといい香りがする気がする。
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by fastfoward.koga | 2009-08-03 20:36 | 本の虫 | Comments(0)