言霊の幸わう国

タイムテーブル ・・・8月28日(金)

★8月28日(金)
 8:15 木更津駅発 ⇒(久留里線)⇒ 9:01 久留里駅着
 9:56 久留里駅発 ⇒(久留里線)⇒ 10:15 上総亀山駅着   -亀山散策-
 12:31 上総亀山駅発 ⇒(久留里線)⇒ 13:20 木更津駅着   -(昼食)-
 14:14 木更津駅発 ⇒(内房線)⇒ 14:36 五井駅着
 14:40 五井駅発 ⇒(小湊鉄道)⇒ 15:41 養老渓谷駅着
 17:01 養老渓谷駅発 ⇒(小湊鉄道)⇒ 17:08 上総中野駅着
 17:13 上総中野駅発 ⇒(いすみ鉄道)⇒ 18:02 大原駅着
 18:11 大原駅発 ⇒(外房線)⇒ 19:17 蘇我駅着   -(夕食)-


 朝起きたら、ふくらはぎの張りが気になった。
 でも毎朝そうだ。
 スニーカーを履いて、リュックを背負い、歩き始めると初めは悲鳴を上げる筋肉もだんだん馴染んでくる。
 旅では、筋肉がこうして強くなることを実感する毎日だった。

 さあ今日はローカル線ずくしだと勇んで、まずは久留里線に乗車。
 のどかな田園地帯そのものを電車は走り、うとうとしかけたところで久留里駅に到着。
 後続の電車を待ちながら、かわいらしいこじんまりした駅舎などを堪能する。
 ここでもハガキを1枚書き、必ず駅前にはあるポストに投函して、続いて久留里線の終点上総亀山駅を目指した。
 上総亀山駅に着いてからは、ダム湖の亀山湖に向う。
 歩き出してすぐに線路止めがあり、不思議なきもちでそれを見つめた。
 折り返す路線に今まで乗ったことがなかったわけではないが、どこからか聞こえてきた、線路をもっと延ばすつもりだったのかなという言葉どおりのような気がした。
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 この日はほんとうに天気がよく、陽射しと汗に負けそうになりながら亀山湖を目指した。
 できれば亀山温泉で日帰り入浴か足湯ができないものかと思っていたが、運悪くどちらも時間が早すぎたようで、仕方なく少し日陰で涼んだあとはとぼとぼと駅に戻ることにした。
 戻る前に亀山湖の脇にある売店で、アイスを購入。
 旅の最中はジュースなどで糖分を補給することはあっても、スイーツなどは食べたいという気が起こらず、旅で初めて口にした甘いものだった。
 うまーい、とアイス最中をむしゃむしゃ、お行儀が悪いのだが人も車もわずかなので頬張りながら歩いて駅まで帰った。

 のんびりした久留里線で再び木更津へ戻り、昼食をとってから次は五井駅へ。
 そこからは本日のメインイベント、小湊鉄道といすみ鉄道のはしご。
 この路線は1日5本しか乗り継ぎできず、鉄道を特集する雑誌にはよく乗っているところ。
 五井駅から急いで乗り換えた小湊鉄道は、陽もよく射し込み冷房の効きもよくないせいかサウナのような状態で、1時間ほどの乗車時間じっと喉の渇きに耐えていた。
 養老渓谷駅に電車が停車したときは、やっと冷たいものが飲めると、わたしは足取り軽く電車を下りて改札を出た。
 と、そこで、駅前の小さな広場が異様な景色だということに気づく。
 広場を囲んでカジュアルな洋服の人たちが座り込み、ある1点を見るとそこだけ洋服も髪型も古臭い。
 そしてなにより目の前のタクシーと奥のほうに見えるボンネットバスが、疑問を大きくした。
 それでもまずはお茶だお茶だと自販機にまっすぐ向い、改札の駅員さんに声をかけて駅に併設された足湯へ向った。
 そのあたりでやっと、ああこれはなにかの撮影なのだということが、わかった。
 足湯をしながら、なんの撮影なのか聞きたくてうずうずしていた。
 でもなかなか声をかけられそうな人は見当たらず、知りたいなあと上の空で文庫本を開いていた。
 そうこうすると足湯のおかげで汗も出始め、そろそろ涼もうとベンチのほうへ移動するとラフな格好のおじさんとエキストラらしき女性の人が、撮影が長引いて・・・という話をしているのが聞こえた。
 初めは会釈だけし、裸足のままでベンチに腰掛け文庫本を開いていたが、次にさっきのおじさんが現れたときには今だ! と声をかけてみた。
「これって、なんの撮影なんですか?」
「ああ、今度始まる『不毛地帯』っていうドラマの第1話の撮影なんだよ。」
 おじさんは退屈していたのか、話し相手が見つかったとばかりにいろいろと教えてくれた。
 今回のロケの設定は昭和30年代の京都で、しかも季節が冬のため、今日はお天気が良く空の色が明るすぎるから、曇り待ちで朝からずっとこうしていること。
 ほんとうは午前中で終わる仕事だったのに、と最後におじさんはぼやいていた。
 エキストラの女性は家庭のある人らしく、夕飯作ってきてないのよ、と苦笑いしていた。
 わたしはおもしろいものに出くわしたものだと、話を聞いたり、エキストラの人たちの服装やボンネットバスなどを見たり、1時間強の時間を飽きずに過ごしていた。
 残念ながらどこかにいるはずの主役の唐沢寿明を見ることはできず、駅員さんと残念だねえという話をして、小湊鉄道終点の上総中野駅行きの電車に乗った。

 このひと区間、車内に乗客はわたしひとりだった。
 オレンジ色のシートに少し傾き始めた陽が射し、さらに車内をオレンジ色に染めた。
 さあ次はいすみ鉄道だ、乗り換え時間はわずかだから急いで飲み物を買って、両方の電車の写真を撮ってと、きもちは高揚していた。
 が、しかし。
 小さな小さな駅舎の外にある自動販売機でミルクティを買ったはずなのに出てきたのは緑茶で、そのペットボトルを握り締めしばらく呆然としてしまった。
 時間はあと少ししかないのに。
 焦りながらも撮りたかった写真だけは納め、黄色いいすみ鉄道に乗車すると、運転手さんはわたしを待っていたかのように出発準備にかかった。
 今度の車内はわたしを含めふたりだけ。
 誰かともだちのうちで(しかも広い)くつろいでいるようなきもちで、緩く大きくカーブする電車の揺れに身を任せていた。
 どこの駅だったか、途中からは女子高生が大勢乗ってきて、そこから車内は一気に賑やかになった。
 空いた電車は大すきだが、ローカル線でほんとうに乗客がいないともう次は乗れないかもしれないと不安にもなるので、そこはほどほどであってほしいなと思う。

 ローカル線の乗り継ぎを楽しんだあとは、前日とは逆に大原駅から外房線を上り蘇我駅まで。
 窓際の席で日が暮れて、窓に自分の姿が映る様子を、ときどき文庫本から顔を上げて確認していた。
 こんな状況は普段の生活でもあるはずなのに、なにかが決定的に違っていると感じていた。
 なにかなにかと問い続け、外の灯りの少なさだと気づいた。
 それはもう圧倒的に違うのだ。
 でも今見ている景色が寂しいわけでは、決してない。
 今日も見知らぬ町は、ああわたしは今から帰るのだと思わせてくれる。
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by fastfoward.koga | 2009-09-05 12:09 | 旅行けば | Comments(0)