言霊の幸わう国

女心と秋の空

 定時の17時になったら、ぱたんぱたんとデスクを片付け一目散で退社。
 駅に向う途中、見上げた空には鱗雲が浮かんでいた。
 今朝は、もっときれいな鱗が空に並び、ヘルメットの中からその模様を視線でなぞった。
 すっかり秋空だなと心穏やかに思う反面、足元は急ぎ足。
 途中信号に引っかかり、気になるなあとまた空を仰ぐと、鱗はベルトコンベアに乗っているように揃って東のほうへ移動していた。
 動いているのは自分だけだと思うな、と心の声が聞こえた。

 今日わたしが急いでいたのは、近所の図書館へレポートを書くための参考文献を探したかったからだ。
 どう急いでも18時半にしか着けないので、30分の制限時間をそれ以上短くすることのないようにしたかった。
 予定どおり閉館間近のせいでがらんとした図書館へ滑り込み、備え付けのPCで検索をする。
 著者名、書名、キーワード。
 どれを使っても探していた本は見つからず、役に立ちそうな本もなさそうだった。
 本棚の間を早歩きで動き回り、静かな図書館には息急ききってたてる音が響いていたような。

 と、そこでふと思い出す。
 先日エキサイトで、図書館について読んだコネタのことを。
 そこには、図書館で読みたい本が予約で数百人待ちになっている状況について、社団法人日本図書館協会理事・事務局次長という肩書きのついた人の、借りようと思っても借りられないというのは本来おかしい、という言葉が書かれていた。
 わたしは意味がわからず、何度も何度も読み返した。
 元々本は買う派。そして、なぜ数百人待ちで文句を言うなら、買わないのだろう? と思ったせいで、言葉がすんなり頭に入ってこなかった。
 その事務局次長さんは、図書館は税金でまかなわれているのだからもっと口を出そう。人気のある本を貸し出すよう言おう、と言うのだ。
 確かに数百人も待っている状況はまともではないと思うが、それを正常な状態にしようと思ったら、いったい同じ本が何冊必要なのか。
 それを税金で買って、ブームが去ったあとその本はどうするのか。
 図書館という限られたスペースに、そんな蔵書は必要ないだろう。
 それともひと波去ったあと、その本は処分するのか。
 うーん、意味がわからん、と首を捻ったことを思い出したのだ。

 閑話休題。

 とりあえず目的を果たし図書館を出、帰宅。
 頭の中では見つけられなかった参考文献はどうしようか、レポートはどうして書こうかなど、ぐるぐる回っていたが、玄関にはすでにカレーのいい匂いが立ち込めていた。
 自分の時間を自分のためだけにめいいっぱい使えるありがたさ。
 夕方、空を見て聞こえた声はこれのことだったのかと、いつも以上に味わいながらカレーを食す今日の夕べ。
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by fastfoward.koga | 2009-09-11 20:43 | 一日一言