言霊の幸わう国

京都の冬の風物詩

 毎年12月の第1土曜と日曜は、京都の冬の風物詩となりつつあるみやこ音楽祭の日。
 開催は6回目、わたしの参加は今年で3度目。
 だんだん体に馴染んできたなと、烏丸通の銀杏の黄色を眺めながら歩いた。

 今年の会場はKBSホール。
 どんなとこやろと思っていたが、昨年の会場よりは動きやすかった。
 でもやっぱり京大西部講堂がいいなあと、心の片隅で呟いた。

 1日目の土曜日は2時間の試験を終わらせ、204番のバスに乗って会場へ向った。
 そこから2日目の大トリくるりまで、ふんばりどころ。
 様子を見ながら前へ前へと進み、1日目の民生兄さんと2日目のくるりを、端でもいいから1列目で見たいねん! とがんばった。
 そりゃあもう老体に鞭打ち、月曜日は足はだるいわ、首も腰は痛いは、背中には鉄板が入っているかのようだった。
 でも、がんばった甲斐はあった。
 どちらもステージが始まると、だるさも痛みも忘れてしまっていた。

 民生兄さんは相変わらずのゆるさで、ウィスキーらしき瓶を片手に登場。
 ギターをじゃらんと鳴らして歌っては、氷の入ったプラスティックのコップにそれを注いで飲んでいた。
「鶏びゅーと」のあとだから『ばらの花』でも・・・と期待してたら、『BABY I LOVE YOU』をワンコーラスだけやってくれた。
 歌はもちろんのこと、さすがは大御所。MCは誰よりもおもしろかった。

 2日目は、会場の外へは1度出ただけで、あとはずっと1番前を陣取っていた。
 途中何度か相性の悪いアーティストで、もう1番前でなくてもいいーと、きもちがくじけそうになったけど、最後まで耐えられたのは、ここまでががんばったんやしというきもちやった。

 18時50分の予定を少し過ぎ、くるりはやっと登場した。
 今回は、前日ソロで登場した世武ちゃんを含めた4人編成。
 あれやるかな、これやるかな、と隣のふたり組の女の子たちの会話に心の中で参加しながら、わたしも期待に胸を膨らませた。

 1曲目は『かごの中のジョニー』、続いて『ゆかいなピーナッツ』。
 短いMCを挟んで『ベベブ』、『つらいことばかり』、『魂のゆくえ』と、最新アルバムからの曲が続いた(若干曲順違うかも)。
 この日の岸田くんは喉が本調子でないようで、わたしはちょっとそわそわして聴いていた。

 この他、「とろみ」でも披露されていた世武ちゃんとのデュエット『京都の大学生』に、『太陽のブルース』。
 歌っている岸田くんの表情は楽しそうにしているものの、だんだん声が出しにくそうやし、音も外してるしと、思わずこちらがえへんと咳払いしたくなった。
 でもこれが不思議なもので、『ばらの花』と、本編最後の『東京』ではいつもの岸田くんに戻った気がした。

 途中でメガネを1度飛ばし、ギターをかき鳴らす様子は、なぜだか少し小さく見えた。

「もうちょっとだけやらせてください」と、岸田くんの謙虚な姿勢に乙女心をくすぐられ始まったアンコール1曲目は『How To Go』。
「とろみ」以降、わたしが『アンテナ』をずっと聴いていたのをまるで知ってるみたいやん! と、ステージと観客席を遮る柵から少し身を乗り出して聞き入った。
 そしてほんまに最後は、『宿はなし』。
 今日は口ずさまんとじっと聴いてよう、と心に決めた。

 この選曲すごすぎ! と悦に入っているのはひとりだけかと思っていたら、最後は演奏の終わりを待たず、岸田くんが歌い終わった時点で拍手が湧き起こった。
 波のようにステージへと押し寄せる拍手に、岸田くんはほんまにうれしそうに笑った。

 MCの中で岸田くんが言うてたことやけど、今年からくるりはみやこ音楽祭の運営にまったく携わらなかったらしい。
 いよいよ一本立ち。
 どうりでどのアーティストもMCでくるりの名を出さなかったはずだ。
 ボランティアの学生たちは寒い中、ほんまようがんばった。
 
 会場の中にいる間にすっかり日は暮れ、20時を少し回って外に出ると、上気した頬に当たる風がひやりとした。
 地下鉄の駅へと向かう列を急ぎ歩く足元には、黄色い銀杏の葉。
 3年前初めてみやこ音楽祭にドキドキしながら行った日のことを思い出した。
 
 来年もまた冬とみやこ音楽祭はやって来る。
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by fastfoward.koga | 2009-12-09 23:05 | 一日一言