言霊の幸わう国

電車酔い

 今日も通勤電車で、『第一阿房列車』の続きを読む。
 ガタゴト揺られる自分が、文字を追うスピードと一体化して、これから仕事だというのにうっとり、酔いしれた。
 
 いいなぁ、百閒(あえて、名前呼び捨て)。
 わたしも、「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」って、どこかへ行きたい。
 しかも行くために借金してって、そのゆるさが心底うらやましい。
 真面目すぎて、わたしにはできんよ、百閒。

 帰りもまた本を開いて、途中うとうとして、電車を乗り換えて、つり革を握りしめてまた読んで。
 最寄り駅の改札を抜けたとき、ふと、あれ? 今日は雨だっけと思った。
 どことなく湿った空気を鼻先でキャッチしたけれど、ほんとうはそこからじゃない。
 さっきまで読んでいたのが「区間阿房列車」で、百閒と連れのヒマラヤ山系が次の電車を待つ御殿場国府津駅で、雨に降られていたからだ。

 文字と現実の境目が見えなくなった。
 あっちの世界と、こっちで迷子になった自分に、また酔った。
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by fastfoward.koga | 2010-01-27 20:25 | 一日一言 | Comments(0)