言霊の幸わう国

終着点

 離れた場所から、回線に繋がれて人恋しさがやってきた。
 人恋しさとは伝染するものだったのだ。

 人恋しい、と頭の中にテロップを流してみた。
 目の前には、車窓の向こうに夜の交差点。
 そのふたつを混ぜてろ過すると、科学反応でも起こったのか、外房線で見た景色が浮かび上がってきた。

 外はだんだん陽が暮れて、まばたきするたびに暗さを増し、電車は目立ってきた灯りを次々後方へと流してゆく。
 車内は家路へと向う人たちが、乗っては降り、乗っては降り、みなどこかへ帰ってゆく。
 もしかしたら、帰っているのではない人もいたかもしれないけれど、少なくともどこかへ向っている。
 誰もが最後は必ずどこかのホームに降り立つ。
 そして電車も、誰も乗っていないことを確認したら、回送という行き先を示して車庫へと戻るのだ。

 その電車でうちへ帰れないわたしは、それでも寂しい気にはならず、わたしにも今晩辿り着く場所があると思える強さがあった。
 そう思えたのは、終わりというものがあると知っていたからだ。
 
 人恋しさにも、辿り着く場所があるのだろうか。
 終わりはなくとも安住の地があれば、未来は明るい気がするのだが。
 未踏の地については、いやはやなんとも言いがたい。

 でもひとつ思うのが、人それぞれ抱く人恋しさを繋いだら、虹かオーロラみたいなものになったりしたらおもしろい。 
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by fastfoward.koga | 2010-03-03 22:20 | 一日一言