言霊の幸わう国

現実世界

 知らなくてもいいこと、というのが世の中には存在する。
 どうしてだろう。
 今日は大丈夫と思ってしまった。
 明日はどうかわからない、後戻りするかもしれない。
 でも今日なら大丈夫と、思ってしまったのだ。

 知ってから、案の定知らなくてよかったなとぽつり思う。
 でも少し懐かしさを覚え、一線を越えたことでバカに輪がかかり自分の落し物がないか探してみたくなった。

 どこかで生きていればいいのだよ。
 わたしの知らない街角でひっそり暮らしてくれていたらいいのだよ。
 過去は、共にしてしまったのだからそれはもう変えられないことであり、今は、いてもいなくても一緒。
 それも、死んでしまっていたら気分がよくないという、そりゃあもう自分の超エゴで思うだけであって。
 
 思い出すと、楽しかったことも傷つけられたことも、洗濯機の中で一緒くたに回されてびしょびしょさ。
 それもまたもっと時間が過ぎれば、いつか抽斗をひとつずつ開けるのではなく、あのころというひとつのパウチにまとめられてしまうはず。
 それでも、ちょっとだけ、誰よりも幸せになって見返して、それを復讐のように感じたいと猛烈に願ったりする。

 日曜の昼下がり、数時間だけ膨らんだ自分の中の邪悪な塊。
 それでも、すきな音楽を鳴らし、読まれることを待っている本と予定が書き込まれたカレンダーを見ていたら、いいと思えた。
 引きずって擦れてボロボロになって過去をまだ離せずにいて、たまに思い出してはこうやって自虐的になったり、毒を強めたりしていても、生きてるって素晴らしい。

 忘れてもいいけど忘れないとわかっている人たちが、栄養分になってくれた。
 わたしはそれを無駄にしないよう、あとは感謝しながら骨までしゃぶるだけ。
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by fastfoward.koga | 2010-03-14 22:05 | 一日一言