言霊の幸わう国

爪を噛む

 周囲から卑しいと思われたくないし、自分を卑しいと思いたくない。
 そういうきもちが強すぎて、ほしいものがほしいと言えないことがある。
 ほんとうにほしいと思っているときほど、なんでもないような顔をしてしまう。
 でもそれこそが、卑しい。

 新しいなにかに出会うと、新鮮さから飛びつきたくなる。
 その飛びつきかたを省みて、自分でまるで馴染んだものに価値がないみたいじゃないかと声を上げる。
 でも生活にマンネリはつきもので、新しいものに心が惹かれても咎めるようなことじゃない。
 ただ加減が難しくて、やりすぎても遠慮しすぎても、そこに自分の卑しさを見る。

 喜怒哀楽の感情を波が引くようにパッと出して消してしまう。
 もしくは、川の流れのように穏やかな気質を持つ。
 どちらにもなれなくて、日々の小さなイライラに窒息しそうになる。

 人当たりがいいふうに装って、実はお腹の中では黒々。
 固定概念や規則、色メガネ、疑心暗鬼の詰まった鍋がぐつぐつ煮えている。
 もっとゆったりした、許せる人間になりたいと思う。
 その一方で、自分に許し続けるだけの器がないことに肩を落とし、それ以上のものになろうとはしない。

 そんなことをぐるぐる考えていたら、気づくと右手の爪を唇の上にのせていた。
 あとひと息で、噛みしめてしいそうだった。
 
 素直になれない自分は、この上なく下卑ている。 
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by fastfoward.koga | 2010-04-15 21:05 | 一日一言 | Comments(6)
Commented by ふじこ at 2010-04-16 12:57 x
同じく。
Commented by mohariza6 at 2010-04-16 19:10
<人当たりがいいふうに装って、実はお腹の中では黒々。
 固定概念や規則、色メガネ、疑心暗鬼の詰まった鍋がぐつぐつ煮えている。>・・・
人間、皆同じでは無いでしょうか・・・?

純粋に清廉潔白な人間がいるとしたら、(世の中<人間>を知らない子供時代を過ぎ、大人になった限り・・・、いないと思いますが、)
「そんな清廉潔白な人間(と称する者)」は、(人間らしい)人間では無い気がします。
Commented by fastfoward.koga at 2010-04-16 21:21
ふじこさん、こんばんは。
ありがと。
今度ゆっくり話そうね。
Commented by fastfoward.koga at 2010-04-16 21:26
mohariza6さん、こんばんは。
確かに、毒を持たない人間などいないと思います。
でもその毒をどう扱うかという点において、人がみな同じだとは思いません。
人それぞれ、憧れるものやなりたいもの、そしてなれるものは違いますからね。
Commented by tammy at 2010-04-17 14:45 x
こんにちは。
私は欲しいと思うものを欲しいと素直にいえる人、羨ましいといつも思っています。相手が嫌なことだとわかっていても、相手の為になるなら言える…そんな人になりたいといつも思っています。
ただ、もちろん腹黒な部分は充分持ち合わせていますので、それをどうやったら薄めることができるかというのが、私の目下の課題でもあります。
黒いということは、生きることに欲があることだと思うのです。欲があれば、成長できる機会があると。
なんてポジティブに考えています。世の中の人全員には好かれることはできないというのが、今のところの私の人生観です。
Commented by fastfoward.koga at 2010-04-18 00:28
tammyさん、こんばんは。
わたしはどちらかというと(いや、どちらかというとじゃないな)、相手のことではなく自分のことしか考えてないです。
ただ自分がほしいものをほしいと言えない、とよく悶々とします。
あー、なんて器が小さいわたし。

「欲があれば、成長できる機会がある」には、うんうん頷きました。
一生煩悩に悩みつづけたいと思います(笑)。