言霊の幸わう国

応急処置

 思いのほかスムーズに仕事が終わった。
 運よく残業もせずにすんだ。
 ゴールデンウィークボケもなく、ビルを出たところあたりまではおかしくなかった。
 ような。

 電車が最寄り駅に近づくにつれ、恋しさが募った。
 ちょうど持っていた文庫本を読み終えたあとだったから、せめてその穴だけでもと本屋に寄り道をした。
 だらだらと本棚の間をいく度も抜ける。
 迷って迷って、手ぶらで外に出た。

 歩いても、ベスパに乗っても、すり抜ける風が心地よく、人恋しさを体にずんずん感じた。
 
 話したい人と、行きたい場所と、触れたいものがなにか、むちゃくちゃよくわかっているのに、同じことを単にくり返すのはなあと、今部屋。
 自分の欲求の背中を押すものって、なんだったかなあ。

 とりあえず穴は、手持ちのコマで塞ぐ。
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by fastfoward.koga | 2010-05-06 22:09 | 一日一言