言霊の幸わう国

しとしとぴちゃん

 朝も夜も、しとしと。

 帰り道、立ち止まった交差点で超高層のマンションを見上げる。
 雨に霞んで、いつもなら高級感のあるベージュの外装が薄墨色にぼやけ、突如仮面をかぶった悪の要塞に見えた。
 視線を元に戻すと、まるで誰もいなくなった街にひとり取り残されたような感覚に。
 交差点には人も車も行き交っているというのに、どういうこった。

 電車を乗り継ぎ改札を抜けたところでは、雨は気にならない程度になっていた。
 でもちょっと本屋に立ち寄っている間に、再登場。
 仕方ないなと、ウインドブレーカーだけ羽織ってベスパに跨った。
 うちまでは10分ちょっと。
 ヘルメットのシールド部分はあっという間に濡れそぼち、ほんの少し目線を上げるとオレンジ色の街灯がぼんやり、目の端に映った。
 涙で曇ったみたいだ。

 霧雨はまだ降っている。
 そのせいか、今夜はひやっとして静か。
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by fastfoward.koga | 2010-05-11 21:21 | 一日一言