言霊の幸わう国

飛行機雲のゆくえ

 夕陽のオレンジが、西の空だけじゃなく北の空にも侵入していた。
 思わずベスパのグリップを握る自分の手もオレンジ色に染まっているんじゃないかと、信号待ちの隙間に手の甲を見た。
 その空に、飛行機雲がひと筋。
 あまりの太さに、運転しながらちらちら見る。
 うちに着いてからもその行く先が気になって、見晴らしのよい橋までぶらぶら歩いた。
 きれいに描かれたグラデーションの絵を、引っかいた跡。
 数分の間に4本の線が引かれた。
 あの、雲を長く長く引く、飛行機に乗りたかった。
 飛行機からは、尾を引くような雲は見えたのだろうか。
 夕焼けの余韻に浸るため、今日はいつまでもカーテンを引かず、灯りもつけず、飛行機雲の代わりに浮かんだ星とその雫を受けるように現れた細い三日月を見ていた。
 明日は、晴れの月曜日。
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by fastfoward.koga | 2010-05-16 19:53 | 一日一言