言霊の幸わう国

晴れ間見え

 予報を覆す陽射しの元、見かけた鹿の模様も若草山の緑の色も、みな鮮やかだった。
 出かけるときは日傘が邪魔になるかと迷ったけれど、持って行っていてよかった。

 久しぶりにランチでもどう? と以前の職場の友人から誘いを受け、お互いに休みをとって奈良で待ち合わせをした。
 早いもので、奈良へ毎日通っていたあの日々ももう4年前。
 定期券がなくなると足が遠のいていたから、京都で会う? と聞かれたけれど、奈良にしましょうと返事をした。
 だから道中は、ずっと覚えのあるお店や看板を確認していた。

 12時に待ち合わせをして、近鉄奈良駅近くで別れるまで、ずっと仕事の話。
 職場の中では言いづらいことも、うんうんわかるーとお互いに聞けるから、お昼を食べても、散策しながらも、お茶をしてても、ずっと話をしていた。
 話題は尽きないのだけれど、それでも、夕方にはふたりともがすっきした顔でまたね、と言えた。

 休みがないほど忙しく働いていたわけではないし、ライブにいそいそ出かけてゆけるだけの時間の余裕はあった。
 でも土日だけではどうにもこうにも消化できないものをお腹に抱え、日曜の夜になると上司の顔を思い浮かべては、また1週間顔を合わせなくてはいけないのかと考えて億劫になっていた。
 レポートも課題もきもちが乗らなくて手につかないままで、そういう状態を見つめれば見つめるほど自分がいやになり、鬱々もした。
 わたしは贅沢な状況で悶々としてるのかな、なんて。

 それが今日、久しぶりに丸1日休みをもらって平日の街に出かけたら、きもちが伸びをするようにすーっとした。
 ただ友人と話をし合うだけじゃなく、猿沢池や奈良公園のあたりを散歩したのがよかった気がする。
 汗をだらだらかきながらも、梅雨の晴れ間、目に映る鮮やかな緑は新鮮だった。
 奈良公園の鹿の匂いや、気をつけないと踏んづけるフンさえも微笑ましくて、芝生の上で休む鹿の首に抱きついてぎゅーっとしたくなった。

 最近は送別会シーズンに恒例化しつつある胃痛も今日はなかったし、思わず休んだなーと伸びをしたくなるほど休みらしい休みを過ごせた。
 今晩は、明日仕事かと思ったりせず、ぐっすり眠れそうな気がする。
 これで、心の平穏が取り戻せるかなあ。
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by fastfoward.koga | 2010-06-28 20:48 | 一日一言