言霊の幸わう国

海あり山あり 日本列島輪切りの旅  「スタート前夜」

★7月23日(金)
 19:36 京都深草発 ⇒(高速バス)⇒ 22:10 福井駅東口着   -(車内で夕飯)-

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 (バス停から)


 仕事を終えたあと通勤電車から少しそれ、フェードアウトして旅のスタート地点へ向おうとしていたその矢先、間の悪いメールが届いた。
 間が悪いと言っても、相手はもちろんわたしが旅に出ることなど知らない。それに旅に出るときにその相手からメールがきたことがほんとうに間が悪いのかは、定かでない。
 ほんとうのところ、旅支度をしながらその人のことを何度か思い出していたから、間が悪かったのだ。その人との間にはもうなんにも始まったりしないのだけれど、思い出していたことがばれてしまった気がして、そのバツの悪さに自分で勝手にいらついてしまった。
 携帯から視線を上げ、窓の外を見る。東の空には、白い月。こちらが目をそらさないと、いつまでも電車に並走して追いかけてきた。
 いつもの乗り換え駅のコインロッカーから、朝預けたリュックを取り出す。再びホームに降り立ち、リュックを背負って高速バスの乗り場へ急いでも、まだその重みは体に馴染まない。結局もやもやしたままバスに乗車した。
 立て込んだ仕事で蓄積された疲れを、旅に出るというテンションでごまかした1週間。バスで、くさくさしたきもちを封じ込めて寝てしまいたいと思ったけれど、目を閉じる気にならない。そのことに気づいて強制的に目を閉じる。でもすぐに目を開けてしまう。ああこりゃだめだと、持参した文庫本を広げても集中できない。
 出発して1時間ほどは、5分おきにバスの前方にあるデジタル時計を確認していた。
 それが、ひとりふたりとメールが届き出し返信と受信をくり返していたら、そのうちバスは福井県内に入っていた。
 敦賀の手前で、すっかり暗くなった外を見る。今度は、月は西側に浮かんでいた。
 するすると走るバスに乗るわたしを、また追いかけてくる。
 気づくと、夕方から居座っていたくさくさは消臭されたみたいになくなっていた。

 バスが福井駅東口に到着したのは、定刻どおりだっただろうか。駅前のロータリーを抜け、10分ほど歩いてホテルに着いた。
 チェックインしたあとはすぐに窓の外を見たけれど、どっちの方角を向いているかもわからないし、考えるには疲れすぎていた。少しだけテレビを見ながらビールを1本だけ飲んで、頭をからっぽにして寝る。
 旅は、明日から。
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by fastfoward.koga | 2010-08-13 23:05 | 旅行けば