言霊の幸わう国

夢うつつ旅うつつ

 仕事始めの日、社内はなぜか肌寒かった。
 いつもは午後からのぼせそうになるくらい暑くなるのに、いったいどうしたことか。
 そんなことを思いながら、新年早々残業していた。
 仕事を終えビルを出て外気に触れた瞬間に、寒いっと思った。
 その寒気はずっとなくならず、次の日、朝起きたらもう風邪菌に包囲されていた。
 とりあえずうちにあったコンタックを飲み、会社へ。
 駅に着いたらその足でドラッグストアに寄り、ドリンク剤の葛根湯を買った。
 レジで薬剤師さんに質問すると、朝薬を飲んだなら昼食の前に飲めばよいと言われた。
 風邪の引き始めはやっぱりドリンク剤の風邪薬がよいと思う自分がいて、確かに飲んで寒気は少しおさまったけれど、今度は頭がぼおっとし始めた。
 運よく水曜日はノー残業デーだったので、熱はなさそうな、でもぼんやりする体を前に前に動かして駅までたどり着いた。
 特急のシートの上で、ぼおっとしているのに文庫本を開く。
 須賀敦子全集第3巻、『時のかけらたち』の続きだ。
 不思議なことに目は泳ぐことなく文字を拾い、淀みなく読み進められる。
 でもときどきふと目を閉じたくなり、欲望に従う。
 しばらくそうしているとまた自然と目は開き、いつまでもなめらかな文章を追いかけた。
 その合間に、友人にメールを送る。
 返事には、今月パリに行くと書かれていた。
 それがちょうど読んでいる須賀敦子のエッセイに登場するヨーロッパのあちこちの都市名と重なり合い、うらやましい、という感情が胸に広がった。
 うらやましいのは、行き先がパリだからなのか。
 ヨーロッパだからなのか。
 海外だからなのか。
 それとも、旅に出ること自体がうらやましいのか。
 ここまで考えて、頭はもーわからん、と考えることを放棄し、次の停車駅のアナウンスがあるまで目は閉じられ、意識はすうっと薄れていった。

 あー、旅に出たい。
 でもがっつり旅に出る時間もお金も余裕がないので、とりあえず小さな旅を自分に用意する。
 今月は、新幹線も夜行バスも飛行機も乗る。
 できるなら、ついでに時刻表とにらめっこもしてみたい。
 風邪をひいても、忙しくても、それくらいないとやっぱりやってらんないのさ。
[PR]
by fastfoward.koga | 2011-01-06 21:51 | 一日一言 | Comments(2)
Commented by mohariza6 at 2011-01-08 04:28
つい、暖かい<バリ>に行くのが、羨ましい、と云っていると、思いました。

バリの方が、呑気になり、
うとましいとか、うらまやしいとか、
考えなくて、よい、思いますが・・・。

バリも、せわしい観光客が多くなり、呑気さ、は少なくなっているようですが・・・。
Commented by fastfoward.koga at 2011-01-08 21:00
mohariza6さん、こんばんは。
とりあえず、今はなにをしに行くとも、そのための行き先も考えず、ただ旅に出たいです。