言霊の幸わう国

エールを

 部屋に帰ってきたときの匂いが、まだ自分のうちの匂いだと感じられない。
 シャンプーも石鹸も香水も歯磨き粉も、みな同じものを使っているのにどうしてなのか。
 あ、洗濯用洗剤か柔軟剤が違うか。
 そんなことを考えながら、今洗濯機を回している。

 定時でうちに帰れない日が続くと、いつご飯を炊こうか、いつ洗濯をしようか、そんなことばかり考えている。
 慣れない自炊も手際よくするために、毎朝用意するお弁当でも無駄がないように。
 毎晩灯りを消して目を閉じるほんの少し前、まだ見慣れぬ天井を見つめ、生活するとはこういうことなのだと思っている。

 今まではなにからなにまで両親に依存し、わたしは自分のことだけ考えていればいいと心のどこかで思っていた。
 ひとり暮らしをすれば誰もが通る道なのだろうが、今さらながら親のありがたみを感じたり、誰かと一緒に暮らすことのぬくもりを思い出している。
 自分ひとりの世話なのに、生活するって大変。
 そんなことを、ラップにくるんだご飯を電子レンジで温めながら思う今日この頃。

 でも当たり前の生活をできるだけ自分はいいほうなのだと、テレビから流れる被災地の様子を見ると思わずにはいられない。
 今まであったものがある一瞬を境になくなってしまう。
 いるのが当たり前だった人がそばにいない。
 毎日を一生懸命踏んばって過ごしている人たちのことを思えば、洗濯機が回る音を気にしながら暖かい部屋にいる自分は沈んでなどいられない。

 地震発生以後、職場の雰囲気は一転した。
 もともと年度末が近い上に、4月にひとつの転機を迎えることもあり忙しくなることはわかっていたが、別の忙しさがやってきた。
 被災した東日本エリアをカバーする仕事が回ってきたのだ。
 次々と上司からオーダーが入り、目も頭も回るような毎日だけれど、この町で自分にもできることがあるということ、それがずっとやってきた仕事だということ、そのことが少し自分を強くしているような気がする。


 ひとり暮らしはどう? と心配してくれたみなさま。
 意外にがんばってやってます。
 どうも、ありがとう。

 そして地震以後、元の生活にまだ戻れていない方々、わたしはここからみなさんを応援しています。
 どうか挫けず、もう少し踏んばってください。
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by fastfoward.koga | 2011-03-17 22:18 | 一日一言 | Comments(2)
Commented by calligraphy_m at 2011-03-18 19:02
まん丸に近い月を見ながら
東へ西へ(特にコガさんのいる京都へ)エールを送ってます。
Commented by fastfoward.koga at 2011-03-18 22:31
calligraphy_mさん、こんばんは。
エール、ありがとうございます!
わたしも月を真上に、東へ西へエール返しを!