言霊の幸わう国

部屋の記憶

 今日は、仕事を持て余してしまった。
 課長がいないので部長に相談したら、あとはすっかり自分の手を離れてしまった。
 最初から最後まで自分の手におえるような案件だとは思えなかったけれど、どこまでならできたか考えた。
 考えすぎていつもほどくよくよもびくびくもすることはなかったけれど、席を立つのをためらった。
 トイレに行き、鏡を見るのはほんの少し勇気がいった。

 席に戻ってディスプレイと対峙しながら、脳裏に自分の部屋の窓際、カーテンの色と模様が過ぎった。
 恋しくて思い出したわけではないと思う。
 でも同時に、まだ馴染みきらない部屋の匂いが鼻先をかすった。

 ひとり暮らしをする前、こんなふうに自分の部屋や家を思い出すことはあっただろうか。
 そしてわたしは、もう新しい暮らしに慣れたんだろうか。
 そんなこと、どっちもわかったって、なんの役にも立たないのだけれど。
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by fastfoward.koga | 2011-03-22 21:59 | 一日一言