言霊の幸わう国

 坂道を上っているときに、世界と繋がっていないと思った。
 浮いているのでも、隔離されているのでも、拒絶されているのでもない。
 ただ繋がっていない、という感覚だけがある。

 捉えられないことが、多すぎる。
 起こった出来事も、自分の、そして関わる人の感情もみな漂ってばかりで、捉えどころがない。
 どれもこれもするすると指の間から零れ落ちてしまう。
 現れては消え、現れては消えして、追いかけるのをやめてしまおうと思った。
 けれど、そういうものをそういうものだとあきらめたら意味がない。
 捉えられないものを捉えて自分の言葉に、そう思い直した。

 この数日、夢を見た。
 髪が抜ける夢と、電車を何度も乗り降りする夢だ。
 どちらも、心配事や不安を象徴する夢らしい。
 今わたしが感じているのは、果たして不安なのだろうか。
 不安さえもわからなくなるなんて、いったいどうしたことか。
 これは、不安でも、寂しさでも、憂鬱でもない。
 そう思うのは、単なる強がりなのか。

 そこでわたしは天を仰ぐ。
 そこに、いるかいないのか、たとえいたとしても見ることはできない人を探している。 
 その人から答えを教えてもらおうとか、ヒントを与えてもらおうとしているのではない。
 もう1度、視線を合わしたい。
 そんなきもちで視線を上げている。

 でも見えないものは見えない。
 聴こえないものは聴こえない。
 五感はなにも摑まえない。
 でもだからと言って、なにもないことにはならない。

 世界を見失って手探りで迷いに迷って、あっちこっちにぶつかって傷もこぶもいっぱい作って、すり抜けていった感覚だけを頼りに進む道。
 それが、わたしの明日になる。
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by fastfoward.koga | 2011-06-18 23:34 | 一日一言