言霊の幸わう国

12月の巻

1  伊藤たかみ  ミカ! ※ 
2  伊藤たかみ  ミカ×ミカ! ※
3  山川方夫   夏の葬列 ※

 ※は読み返した本です。


 2011年、読んだ本は57冊でした。
 年間100冊を目標にしてきてから、1番少ない冊数となりました。
 大学の課題に気をとられて、というのもひとつの理由ですが、ひとり暮らしを始めたことと春に通勤電車のダイヤ改正で座って帰れなくなったことが大きな要因です。
 読むリズムが狂ったと言えばよいでしょうか。
 今年は、テレビを消して本を開く時間を増やしたいと思います。
 読みたい本は山ほどあるもので。

 2011年最後の月に読んだ本、伊藤たかみの『ミカ!』と『ミカ×ミカ!』は、「子ども」をテーマにした課題を書くために読み返しました。
 課題はスクーリングの事後課題で、提出期限は卒業研究の提出前。
 すでに単位は足りているから出さず終わらそうかとも思いましたが、学友のブログを読み、そこに書かれていた文章に励まされ、ここであきらめちゃあ、いかん、と締め切り前日の15時から書き始めました。
 そして例のごとく、21時ごろに「第四種の速達で」と郵便局に駆け込み郵送したものでした。
 その結果が先日帰ってきましたが、これがまた意外に点数がよく、心中複雑。
 人間、やりきってこその評価だなあと、しみじみ思いました。

 レポートでは、授業を取り上げた谷崎潤一郎の『少年』と比較し、両作品の主人公の少年が世界を広げてゆく点について書きました。
 子どもが主人公だと、つい冒険や成長をテーマにしたものを想像しますが、どちらもそこを大きくクローズアップせず、子どもの視野(世界)が広がってゆく様子を淡々と書いています。
 少年たちは見たことのない世界に触れても、むやみにあわてたりしません。
 暗がりで目が慣れてくるのを待つように、手探りをしながら、世界とはこういうものなのかと徐々に見える世界を静かに受け止めます。
 大人なら目を背けたり、閉じたりしてしまうものも、少年たちは怖くてもその向こうにあるものがまだなにか知らないので、見えたものが一体なんなのか、ただ見極めようとします。
 そのまっすぐな視線を、どう読むのか。
 それが子どもをテーマにして、小説を書く理由だと思います。
 子どもの視野が広がって同時に世界が広がれば、一度に見えるものは限られます。
 ということは、そこには陰ができ、その陰こそが、大人に読ませたい部分なのでしょう。
 陰は、見つかりにくいからこそ陰。
 忘れていたものがそこにあり、その感覚を呼び起こすことで大人の世界はそこからまた広がりを持ち始めます。
 単に子ども時代を振り返るためだけに、小説という世界に子どもが存在しているのではないのです。

 と、いう視点で小説を読んだら、おもしろいですよ。はい。
 
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by fastfoward.koga | 2012-01-03 21:09 | 本の虫