言霊の幸わう国

憂鬱な春、はじまる

 冬至が過ぎて、陽が少しずつ長くなってきた。
 一緒に会社を出た周囲の人はそのことをうれしそうに話すのだけれど、わたしはなにも言わなかった。
 おざなりな言葉も、心の奥そこにある思いも、口に出せなかった。
 ぼんやりとしたもやもやしたものが、喉に引っかかるだけだった。

 週末、ブログを書こうと決めていたのに、一行も書けなかった。
 日曜日は気づくと雨が降り出していて1日中家にいたけれど、うとうとしていたらあっという間に陽は暮れた。
 夜になって、別に見たくもないテレビの画面を見つめていたら、とてつもなく、ぽつんとした。
 明日早いからもう寝よう。
 そう思いながらも体は動かず、始まった『情熱大陸』を見ていた。

 昨晩は、サッカー日本代表の内田篤人。
 今はドイツでプレイしているのだけれど、監督が替わったことや故障したことが重なり、最近は出場機会が減っている。
 悶々とした横顔。
 たらればの話はしない。でもさーと言う煮え切らなさ。
 するするっと感情移入した。

 番組が終わって、布団に入り、少しの間だけ本を開く。
 眠れそうな気はしなかったけれど、眠れなくても死にやしないと目を閉じた。
 黒い世界の中で、あぁそうか、春が近いから憂鬱になるのだとやっと気がついた。
 どこまでもどこまでも落ちてゆきそうな足元がおぼつかない中、さっき見た内田篤人の顔が浮かんだ。

 4試合ぶりの先発出場。
 結果はまだ出せていない。
 でも、ボールを追うその姿に、掬われた。
 そして眠りはやってきた。
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by fastfoward.koga | 2012-03-05 21:58 | 一日一言 | Comments(0)