言霊の幸わう国

3月の巻

1 それでも三月は、また・講談社
2 内田百閒   第一阿房列車・新潮文庫 ※
3 川上未映子 すべて真夜中の恋人たち・講談社
4 山崎ナオコーラ
           論理と感性は相反しない・講談社文庫
5 山崎ナオコーラ
           男と点と線・新潮社文庫


 旅先でその町の本屋に行くのは、楽しみのひとつです。
 今回の香川への旅では、山崎ナオコーラの『男と点と線』を用意していましたが、渋滞に巻き込まれた高速バスの中で4分の3ほど読んでしまいました。
 そこで高松市内を散策中、ある駅の近くにある本屋に行きました。
 しかしそこは見事なまでに流行りだけを置く書店で、文庫コーナーと文芸書コーナーを3巡ほどしましたが、1冊の本も選べず、あきらめて店を出ました。

 今晩、もしくは明日早くに本を読み終えてしまったら。
 そう思うと、不安になりました。
 他にどこか本屋はないだろうかと、おみやげと夕飯を食べるお店を探しがてら、繁華街へ向かうと、うまい具合に大きな書店が2店舗見つかりました。
 ひとつは、さきほど立ち寄ったのと同じ書店。
 どんなものだろうと巡回を始めると、意外にこちらの店舗はすぐに手に取れる本が見つかりました。
 いくつもの背表紙を見ているうちに、まだ山崎ナオコーラが読みたい気分になっていたので、結局『論理と感性は相反しない』を購入しました。
 1冊の本を手にしただけで、お腹はまだ満たされていないのに、とてもほおっとしました。

 山崎ナオコーラは、卒業研究で小説を書くときに何度も読み返していた作家です。
 入り込んで書いて、ふと我に返ったとき、自分が書こうとしているものがなんだったのかわからなくなることがよくあり、そういうとき、自分の立ち位置をニュートラルに戻すときに読みました。
 小説とは。
 それがなんなのか言葉では説明できませんが、読んでいれば自分の中にその答えが沁み込むような気がしていたのです。
 現に読み返したあとは、スッキリしたきもちで作業に戻れました。

 彼女の書く作品には、ひねったりこねくりまわした表現はありません。
 難しい言葉も使われません。
 平易ではありますが、単なる平易でなく、センスがよいのです。
 それはあちこちで評価されていますが、読んでいると、あぁ、うまいなあと、わたしもよくうなります。
 
 エンターテイメントではない、これこそ小説というおもしろさ。
 それを彼女の作品に感じます。
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by fastfoward.koga | 2012-04-01 20:07 | 本の虫