言霊の幸わう国

かさかさ

 つり革を握りながら、窓に映った自分を見ていた。
 そこまで明確ではないけれど、目の下のクマがひどくなっているのはよくわかっていた。

 手の甲を見る。
 潤いがない。
 髪に触れる。
 先日の日曜日、珍しく長い時間外にいたためパサついている。

 知らず知らずのうちにふうっと息が漏れる。
 
 カバンを肩にかけ直した瞬間、隣に立つ女性の手元に視線が動いた。
 文庫本を支えている指先には、ラインストーンをほどこしたネイルアート。
 
 毎日、夕方になると今日うちに帰ってすることを考える。
 ゴハンを作って、選択をして、眠るまでにあとはいったいなにができるのか。
 今日は迷わず自分にかまおうと決めた。

 そうしてがっくり肩を落とす自分。
 毎日ともにいるはずの自分の姿に、驚いた。
 かまっていなかった時間は、確実にその跡を残している。

 ・・・気を取り直して、がんばろ。
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by fastfoward.koga | 2012-04-10 22:47 | 一日一言