言霊の幸わう国

お伊勢参り

 誕生日の夜、仕事を終えてから近鉄特急に乗った。
 帰宅する人たちがホームに行列をつくる姿を横目で見ながら、特急はするするとすり抜けるように走った。
 シートに腰掛けていたわたしは、旅に向かうというのに、削除したはずの友人から再びメールが届き、憂鬱になっていた。
 車窓は、少しずつ青い色に染まってゆく。
 空は徐々に明るさを消し、灯りが目にとまる。
 その様子をぼんやり見ていたら、再び削除した友人のことも、前のシートでいびきをかいて寝ているおじいさんのことも、後ろのシートで歌を歌う女の子たちのことも、みな気にならなくなってきた。

 翌朝、伊勢市は雨だった。
 晴雨兼用の日傘では太刀打ちできないと、ビニール傘を買う。
 その傘を閉じたり、開いたり。
 1日そんなことをくり返していた。

 外宮から内宮をお参りする。
 どちらもお願いごとをするというより、30代最後の年を迎えたことを報告しに行った小さな旅。
 手を合わせても、頭の中は空白だ。
 ただ来ました。
 そんな小さな小さな旅。

 いい1年にしよう。
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by fastfoward.koga | 2012-07-08 08:37 | 旅行けば