言霊の幸わう国

3月の巻

1  万城目学   かのこちゃんとマドレーヌ夫人・角川文庫
2  本谷有希子  生きてるだけで、愛・新潮文庫 ※
3  宮部みゆき  名もなき毒・幻冬舎 ※  
4  石持浅海   Rのつく月にはきをつけよう・祥伝社 ※
5  向田邦子   夜中の薔薇・文春文庫 ※ 
6  山崎ナオコーラ
            カツラ美容室別室・河出書房新社 ※
7  綿矢りさ    憤死・河出書房新書  
8  朝井リョウ   何者・新潮社 
9  夏目漱石   夢十夜・岩波文庫 ※  
10 内田百閒   百鬼園随筆・新潮文庫

※印は、読み返した本です。


 3月は、1・2月の若干の遅れを取り戻しました。
 いったいいつ読んでいたかというと、ぎっくり腰で会社を休んだり、養生のためにともだちとの約束をキャンセルしてもらった時間ででした。
 寝返りをうてないときも、うてるようになっても、横になって本を開いて文字を追ってしばらくすると指をはさんで目を閉じて、それをくり返していました。
 ぎっくり腰というあほらしさに鬱々とするきもちを感じながらも、開き直って本を読み始めると、それはそれはありがたい時間となりました。

 10冊読んだ中で読みがいがあったのは、直木賞を受賞した朝井リョウの『何者』です。
 物語には、就職活動中の大学生たちが登場します。
 今の「シューカツ」というものを少なからずメディアを通して知っているつもりでいましたが、描かれる見に迫る切実さには心のどこかで息を止めて読む自分がいました。

 あのときシューカツから逃げていなければ。
 いやというよりは、シューカツに向き合えない自分から逃げていなければ。
 どうなっていただろう。
 そんな思いが、数度頭を過ぎったのです。

 朝井リョウの文章は、読みやすいです。
 本人は会話は今の話し言葉を意識しているとどこかのインタビューで話していましたが、特に違和感はありません。
 ささくれのない文章です。
 なにか近しいものを感じながら読んでいたら、ひょんなところで彼が堀江敏幸氏のゼミ出身だということを知りました。
 その事実は、わたしにとって太鼓判。
 朝井リョウは、継続的に読んでいこうと決めました。

 そして今月もうひとつある師弟関係。
 夏目漱石と内田百閒。
 こちらふたりの作品は、偶然並行して読んでいました。
 かたや、現代小説ばかり読んでいたのでちょっとここらでと手に取った『夢十夜』と、整骨院通いの途中で買った『百鬼園随想』。
 後者は、養生する間に読むにはユーモラスでいいかなと選びましたが、読みながら何度も小さく笑いが洩れました。
 さすが百閒先生。今会いたい人、ナンバーワンです。 
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by fastfoward.koga | 2013-04-08 22:00 | 本の虫