言霊の幸わう国

こぼれ落ちる

 今日は、すきな人の姿を見に行った。
 行きすがら、すきな人のいる元へ向かうというのはなんとその人への愛しさが増すのかと、その思いを噛みしめていた。

 今までで1番長い時間、彼の姿を見ていた。
 手を開いたり閉じたり。
 指を組んだり、掌を合わせたり。
 忙しないのはわたしひとり。
 遠くに見える彼のほうが、よっぽど落ち着いていただろう。

 そうしているうちに、小指から指輪がなくなっていることに気づいた。
 いつなくしたのか、きっかけがなんだったのか、それすらもわからない。
 いったんうちに帰ってまた元の場所へ戻ったけれど、どこにも気配はない。

 帰る道すがら、ベスパのアクセルを緩めたところで小指を曲げた。
 それはなんてことのない動き。
 第二関節あたりまでずれた指輪を、付け根に戻そうとしていたのだ。
 その動作に、思い当たるふしがあった。
 今日どこかで何度かくり返した仕草。
 なくなるはずはないと思っていたけれど、やっぱり指をすり抜けて落としてしまったのかもしれない。

 いつもと違う場所に立つ彼の姿は、新鮮で愛しくて、でも少し寂しく感じた。
 彼について知らないことが、たくさんある。
 もっともっとと湧き出し欲する思い。
 指輪はそれに流されていってしまったのだと、思おう。
[PR]
by fastfoward.koga | 2013-04-27 20:59 | 一日一言 | Comments(2)
Commented by cayo at 2013-04-28 12:02 x
あれは、ゲット出来ましたか?
それはそれで、なにをメールしようかとか考えちゃいますけど、うらやましい。
疲れるけど、うらやましいドキドキ感。
Commented by fastfoward.koga at 2013-04-28 21:39
まだでっす。
今週がんばりまっす。

疲れるなんて言ってらんないからね。
それを乗り越えない限り未来はないもので。