言霊の幸わう国

震える

 左肩にかけたトートバッグの内ポケットに入れているそれの存在を、左肘の内側で感じている。
 それは、心臓のようだ。
 意識すると、いつもはあって当たり前のことが急に存在感を増す。
 でもそれはまだ震えない。
 震えたらいいのに、と少しくらい飛ばして読んでも困らない小説を読む。
 震えをただ待っているのではないというポーズは、誰に向けたものなのか。
 誰かを欺いてほしいものが手に入るとは思えないのだけれど。

 掌にのる小さな世界が、繋がる瞬間を、わたしは待っている。
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by fastfoward.koga | 2013-05-15 18:54 | 一日一言 | Comments(0)