言霊の幸わう国

水の中の世界

 夏が近いからか、テレビを見ていても泳いでいる人の映像がよく出てくる。
 優雅に水中を舞う姿なら見ていてもきもちがいい。でも我慢をしいられるような姿は、見ているわたしが息苦しくなる。
 できれば、見たくない。見ているだけで、体が重く感じるのだ。 

 わたしは小さいころ、スイミングに通っていたので、泳ぎには自信がある。
 ただし、フォームだけ。
 もう運動らしい運動もしていないので、とてもじゃないが25メートルもアップアップだ。

 でも水の中の世界はすきだ。
 きれいな魚や珊瑚礁はなくていい。
 ただ、水の中に沈んで音が鈍く聞こえる世界なら、かまわない。
 そういう世界だと、守られているような気がする。目を閉じてじーっとしていると、安心する。

 日焼けが苦手なので海になんてもちろん行かないし、水着も抵抗があるのでプールにすらいかない。
 でもあの世界は恋しくなる。

 いつも夏の夕暮れどき、部屋にいると思うことがある。
 陽が西に傾きだすと、電気をつけないわたしの部屋は他の季節にはない光でいっぱいになる。
 それはまるで水族館のような微妙な心地よい暗さ。
 夏はどうしても外に遊びに行ってしまうので、なかなか夕方部屋で過ごすことは少ない。
 でもたまにそんな時間に居合わせると、真っ暗になるまでどっぷりその空間に浸っている。

 水に体を沈めることのない、今の生活のせめてもの疑似体験だ。
 息も苦しくならないので、わたしにはもってこいかもしれない。
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by fastfoward.koga | 2005-06-28 22:20 | 一日一言