言霊の幸わう国

年下の男の子

 あわただしい一日だった。
 今日はいつもの数倍人の出入りが多く、一日中あいさつばかりしていた。
 とにかく入れ代わり立ち代わりいろんな人が来たのだけれど、その中にひとりの男の子がいた。

 うちの職場は基本的に、というか圧倒的に女性が多いので、彼はとても珍しい存在だ。
 一緒に仕事はしたことはないのだけれど、いろんな人からの噂で彼がとてもいい子だということは前々からよく聞いていた。
 会うのは初めてではないので顔を見かけて「お疲れさま」と声をかけると、彼は満面の笑みで「こんにちは」と返してきた。

 彼はとてもいい顔をして笑う。
 思わずその笑顔がひとなつっこくて、わたしはまじまじと顔を見つめてしまった。
 今思うと、ぶしつけなくらい見てしまったかもしれない。
 仕事中にも関わらず、とても親しみやすく礼儀正しい男の子なのでついつい話し込みそうになってしまったくらいだ。
 みんなが誉めるのも納得した。

 最近、わたしの周囲では年下の男の子の話題がよくのぼる。
 あっちこっちで彼らを誉める輩がたくさんいるのだ。
 なぜ、今、年下の男の子なのだ? と疑問を感じたりしていたのだけれど、今日理由がわかったような気がした。

 単純に考えても、わたしが歳を重ねてゆくと必然的に年下人口は増える。
 話題をかっさらっていったって不思議じゃない。
 でももちろんそれだけではない。
 物事を小手先で片付けたり、妥協したり、黙認したり、大人になるとごまかしていることが多くなる中、彼らの、そんな世界があることは薄々わかってはいるけれど今は前をまっすぐ見ていよう、という力強さに惹きつけられるのだ。
 自分は通過したはずの世界。でも、彼らを通して見るとそんな世界をほんとは知らないのかもしれないと思わせられる。
 彼らは「気づき」の存在なのだ。
 少なくとも、わたしはそう思う。

 今日、わたしは彼に勇気をもらった。
 うん、明日からわたしも彼のように笑おう。
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by fastfoward.koga | 2005-07-12 23:59 | 一日一言