言霊の幸わう国

偉大な背中

 身内に不幸があった。
 そのことを知らせる電話が、今朝、5時半に鳴った。
 ちょうど仕事へ出かけるチチを、そんな出来事とともにハハと見送った。
 行動を起こすまでにはまだ時間があるので眠ればよかったのだけれど、次々かかってくる電話のベルで眠れないかなと、しばらく受話器を握るハハのそばでぼんやりとすわっていた。
 電話の合間にハハとぽつりぽつりと言葉ををかわしていると、10数年前に亡くなった祖父の告別式のときの話になった。

 あのとき、わたしはまだ大学生だった。
 祖父は何度も危篤状態から持ち直し、また危篤になり、をくり返していた。
 ハハは仕事をしていて、2度目の峠を越えたときこう言った。
「もうわたしはいいわ・・・。」

 ハハは、もう祖父の死に目に会えなくてもいいと言ったのだ。
 そのとき、わたしは仕事をするということの責任の重さを感じた。
 働くということはこういうことなのだな、とハハの姿を見て思ったのだ。

 わたしは果たして、ハハのような覚悟で仕事をしているだろうか?
 同じような状況になったとき、わたしならどうするだろう?
 そんなことを、目が覚めていない頭で考えた。

 ほんとうに、誰よりもパワーに溢れた頼りがいのある背中。
 男性がよく父親を超えたいと言うけれど、わたしはいつか超えられなくとも、ハハの背中に近づける日はくるかな。
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by fastfoward.koga | 2005-09-14 00:26 | 一日一言