言霊の幸わう国

駆けるきもち

 普段、わたしが通勤に使う電車はのんびりした風景の中を走ってゆく。
 たいがい本を読んでいるので車窓の景色を楽しむことも、見ることすらもあまりない。
 でもこの数日は大阪へ出張していたので、久しぶりに乗る路線を思う存分楽しもうといろんな経路で行き来した。

 すっかり秋の景色に模様替えした町は、陽も傾くのが早くなった。
 出張なので残業がないといっても、夕焼けが見られるくらい早く帰れるわけもない。
 夕焼けを見ながら帰れたらな~、なんて思っていたけれどそれは無理かと1日目であきらめた。

 でも、おかげでいいものが見られた。

 会社を出るときには暗さなんて感じていなくても、駅に着いたころや、地下を出たころにはあたりはすっかり真っ暗になっていた。
 その暗さにはほんとうに驚いた。
 そして、その暗さの中にキラキラとのっぽのビルを彩る光に感激した。
 まるで魔法にかかったみたいだなあと。

 秋は、ストンと陽が落ちる。
 その黒さはきもちがいいくらい潔い。
 そこにたくさんの明かりを見つけたら、なぜか急いで帰りたいような。
 誰かのところへ走っていきたくなるような。
 そんなきもちを思い出した。

 どんどんと消えてゆく景色を横目に、きもちだけはやる自分がいた。
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by fastfoward.koga | 2005-10-06 23:40 | 一日一言