言霊の幸わう国

十人十色

 旅には目的がある。
 が、あるようでないこともある。
 今回松本と安曇野を旅して、目的も期待もなかった意外なところで意外な言葉に出会った。

 旅の中で一番お天気のよかった3日目。
 レンタサイクルで松本市内を散策し、旧開智学校にふらりと立ち寄った。
 そこは重要文化財に指定されている、明治に開校された日本でも最も古い小学校のひとつとされる建物だ。
 和風と洋風の混じった「擬洋風」と呼ばれる建築で作られた校舎には、明治・大正、そして昭和を過ごしてきた机や教科書などが展示されていた。
 展示物やその説明はもともと学校だったところらしく、わかりやすく清々しさの感じるものでわたしにはとても好ましく映った。

 想像以上に楽しんで展示物を触ったり見たりしていると、ある言葉に目がとまった。
 それは、学校創設のころから現代にいたるまでの教科書の移り変わりを展示した部屋にあった説明文だった。

 教科書というものには、どんな教科のどんな書き方をされたものにでも、教えを説くためのひとつの筋がある。
 それにそって、こどもたちはものごとを学んでゆくのだけれど、その説明文には思わずあっ! と気づかされた。

「画一的な教育を目指して作られた教科書は、十人十色に彩られていくフシギな書籍でもあります。」 

 確かに、同じ教育を受けても、受け止め方は人それぞれ違う。
 だからこそ誰かと一緒にいることを求め合うのだとわかってはいたけれど、教科書という書籍を通してそんなことを考えたことは、わたしは今までに一度もなかった。

 本来、教育というものはそういうものでなくてはならないと思う。
 同じことを投げかけても、同じ答えは返ってこない。それでいいはず。
 旅先で、目からウロコが落ちた。
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by fastfoward.koga | 2005-10-13 23:08 | 一日一言 | Comments(6)
Commented by cayo at 2005-10-14 00:31 x
今、読んでる本に
『目に飛び込んでくる言葉や絵は、今のあなたに必要な情報』
と書いてありました。
その情報に気付き、答えのきっかけをつかんだあなたを
とっても素敵だと思います。心から。
情報は平等に与えられるもの。
その情報に気付く気付かないは、その人のチカラ。
素敵な旅に出れたことも、あなたのチカラ。
Commented by ainekun at 2005-10-14 01:41
>確かに、同じ教育を受けても、受け止め方は人それぞれ違う。
>だからこそ誰かと一緒にいることを求め合うのだ
受け止め方が違うと、同じように感じてよ〜、とだだをこねてしまいたくなることが、よくあります。
だからこそ一緒にというfastさんは、大人だなあ。。。。
Commented by kabashun at 2005-10-14 17:02
そうですねー。子供達が様々な受け止め方をしても、それを寛容に迎え入れてくれる環境が必要ですよねー。
でもそういう先生って少ないんですよねぇ。。。
Commented by fastfoward.koga at 2005-10-15 10:29
cayoさん、ありがとう。
旧開智学校は、ひとつひとつの説明文がとてもわかりやすく親しみやすい言葉で書かれていましたが、この一文はするっと懐に入ってきた感じがしました。
どこにいても、誰といても、できる限りいろんなものが自然に心に入ってくるようにしておきたいものです。
Commented by fastfoward.koga at 2005-10-15 10:34
ainekunさん、おはようございます。
わたしも同じように感じてほしいとおもうことはありますよ!
その思いにこだわってしまう瞬間にはわたしも駄々をこねたくなります。
でも、他の人の意見や思いを聞くと、なるほど~と思うことがあるし、そこまで思わなくても相手はなぜそう思ったのか感じたのかを考えると、またその人に興味がわいたりしますしね。
こんなふうにainekunさんが書いてくれる言葉も、そんなふうに思っていつも読ませてもらってます。
Commented by fastfoward.koga at 2005-10-15 10:36
kabashunさんへ
画一的な教育はやっぱり必要なんだけれど、それを受け止める余裕を大人はもっていないとダメですよね。
そういう先生は少ないのか・・・。
学校がこどもがのびのびできる場所じゃなくなるというのは、寂しいものですね。