言霊の幸わう国

記憶の中で生きている

 未だに、面影を見つけてしまう人がいる。

 ・・・見つけてしまう。
 いや、目につくのではなく、ほんとうは探しているのだろうか?
 自分でも、ほんとうのところはわからない。

 ときどき、なぜかいつも空いた電車に乗っているときに、その人と過ごした時間をリアルに思い出す。
 思い出すと、体がバネのように撥ねているんじゃないだろうかと思うくらい、それはときに強烈な衝撃を生む。

 なぜ、そんなにその人の影がいつまでもちらつくのか。
 今でもすきだというわけじゃない。
 後悔しているわけでもない。

 あのときわたしが、とこれっぽっちも思わないわけではないけれど、あれがあのときの精一杯だと思っているし、次は同じ失敗をしないようにというきもちではいる。
 前を向いていない、ということではないと思う。
 でも、ふと、そんな言葉も強がりなんだろうとか自分を疑うきもちになったりもする。

 わたしは、記憶の中で生きている。
 ときどき、「過去」を掬い上げてみては、壊さないように静かに指の隙間から開放する。
 そして前に進んで、また思い出したように掬い上げる。

 なんだか今日は、そんなことをくり返している自分が鮮明にイメージできた。
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by fastfoward.koga | 2006-01-22 21:35 | 一日一言