言霊の幸わう国

重たいカバン

 旅の支度を始めた。
 キャリーケースのふたを開けてぽんぽんと荷物を詰めながら、毎回思うことを今度もまた思った。

 旅の荷物は少ないほうがいいのか。
 迷うなら、持って行くべきなのか。

 わたしは大きい荷物を手に持つのが、きらいだ。
 できることなら、重いものは持ちたくない。
 そのくせ、旅でも快適に過ごしたいと思うきもちが強い。
 荷物はあまり増やしたくないけど、ないと困るのはいやだなと思う。
 毎回、荷物を詰めながら、その思いを天秤にかけて悩むのだ。

 毎日、積み重ねる時間の中で、できるだけ快適にそのときにしかできないことを楽しみたい。
 そう思う今のわたしには、なにかものが必要になる。
 きれいなものを見たら写真に収めたいと思い、退屈しないようにと本を携える。
 そんな思いは、確実にカバンを重くしてゆく。

 ずっと前に読んだ雑誌か本に、ある有名人の女性がパーティに出かけるときに手ぶらで出かけるという話が書いてあった。
 その女性は、カバンは持っていないんですか? と尋ねられてこう答えたらしい。
「パーティに必要なのは、ハンカチと口紅くらいだから、そんなものは主人のスーツのポケットに入れてもらえばいい」と。

 重くなっているのは、カバンだけではない。
 わたしの心も、最近重みを増している。

 いつかできるなら、最小限のものだけカバンにつめてふらっと出かけたり、旅をしてみたい。
 自分という身ひとつだけで、なにかに向かってゆけるラフさとタフさがほしい。
 もしくは、ポケットがわりになってくれる誰か。
 どっちを手にするにしても、かなりの勇気と決断が必要だな。
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by fastfoward.koga | 2006-02-12 22:07 | 一日一言