言霊の幸わう国

揺さぶり

 先日乗った新幹線。
 行きは、進行方向左側の窓際。
 帰りは、進行方向右側の窓際。
 どちらも隣には、サラリーマンの男の人がすわった。
 行きはなんとも思わなかったけれど、帰りは左側に人がいることにしばらく居心地の悪さを感じていた。

 よく集まるともだちのうちでは、こたつを囲んですわるときにはたいてい入口に背を向けて座る。
 誰もなにも言わないけれど、自然にその場所に座る。

 いつもだったら、こんなこと気づいただけできもちは流れる。
 でも今は流れない。

 昨日のカバンの話(「重たいカバン」)も、そう。
 いつもならいつもの旅の支度中の楽しい悩みですんでいるはずなのだ。
 なのに、なにかひっかかった。
 胸につかえるなにかを吐き出したくて書き始めたけれど、思ったよりうまく言葉に表わせなかった。

 みんなの言葉はどれももっとだと思う。
 そうだよね、と頷ける。
 でもほんとうはそんな生やさしいことではなく、きもちがぐらぐらする。
 ぐらぐらして、酔いそうだ。
 いつものわたしなら、みんなの言葉に耳を傾ける前に、書き出したときにすでに答えは決まっているはずなのに。

 ぐらついているのは、現状に満足できていないという証拠。
 電車の車窓からまん丸と煌々と空に昇る月を見て、そう気づいた。

 どうせ揺れるなら、もっともっと揺さぶりをかけたいと思う。
 自分の全体重をかけて、自分のきもちを振り子のように振ってみたい。
 一番高く振り切った両端から、月はどんなふうに見えるのか。
 確かめてみようじゃないか。
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by fastfoward.koga | 2006-02-13 22:04 | 一日一言