言霊の幸わう国

大人の象徴

 今日は、珍しく本を読まずに通勤電車に揺られていた。
 昨日、本を読み終えていたのを忘れてうちを出てしまったのだ。
 仕方なくぼんやりと車内を眺めていたら、ホームで待ち合わせをしていた女の子ふたりが乗ってきた。

 楽しそうにキャッキャと話す様子を見ながら、聞くともなしにふたりの話を聞いていたら、こんな会話を始めた。

「髪、染めたん?」
「うん。」
「卒業式、終わってから?」
「うん。」

 ふと、思い返した。
 そういえば、わたしも3月1日が高校の卒業式だった。
 きっと彼女たちもそうだったのだろう。
 そのあとも、ふたりは誰も髪を染めただの、誰はどうしただの、そんな話を続けていた。

 わたしは高校の卒業式に、それほど思い出はない。
 クラブもしていなかったし、クラスでも浮いていたので、あっさりしたものだった。
 でも、卒業したらと思っていたことがあった。
 それは、ピアスをつけること。

 N嬢と高校を卒業したらピアスの穴を開けようねと約束していた。
 病院を調べたり、どんなピアスがいいか、楽しみにして話をしていた。
 だから、3月2日の午前中に待ち合わせて、ピアスを買って、それを握りしめて病院へ向かった。

 今思うと、あれが自分にとっての、初めての大人の象徴だったのかもしれない。
 痛みがともなった分、重みもあったし、誇らしさもあった。

 今はすっかり年齢だけは、いい大人になった。
 でも、それでも、なにかを新たに手にするとあのときと同じように痛みを感じる。
 あ~、ちょっと、初心に返った気分。
 あの痛み、すっかり忘れてたから。

 みなさんは、自分が大人になったなと思ったのはどんなときでした?
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by fastfoward.koga | 2006-03-04 00:20 | 往復書簡