言霊の幸わう国

ハハの教え

 昨日はチチだったので、今日はハハ。ケンカするといけないからね(冗談です)。

 よく考えてみると、うちの両親は役割分担がうまくなされている。
 チチがしつけ担当なら、ハハはものごとが円滑に進むようなアドバイス担当。
 ハハはわたしが子どものころから、口うるさいことをほとんど言わない人だった。

 ハハがわたしになにかを言うとすれば。
 これはこうやったほうがいい、ということ。
 それも押しつけがましく言うことはなく、あくまで選ぶのはあんたよ、という姿勢だ。
 こうやって考えると、わたしの考え方はやっぱりハハに似ている。

 小さいころから、ハハにはいろんなことを教わったけれど、中でも珍しく少し強い口調でくり返し言っていたことがあった。
 それは、七つ道具(裁縫道具)を持ち歩くようにということだ。

 女の子だから、ということを言ったか言わないか、もう定かではない。
 でも持っておくといざというとき便利だから、と言われたことはよく覚えている。
 わたしはその教えを守り、20代の半ばくらいまではいつも七つ道具を持ち歩いていた。
 それがいつのころからか、使わないしな、ちょっとでも荷物は減らしたいなとカバンの中から取り出してしまった。
  
 取り出した七つ道具は、なぜかずっと机のよく見えるところに置いていた。
 そうしていたのは、ハハの教えを守らないことへのちょっとした後ろめたさだったのかもしれない。
 いつもなにかが引っかかったような気がしていたから。

 数年間、小さいケースに入った七つ道具をときどき見ては元に戻す、をくり返していた。 
 でも先日、やっと七つ道具のケースを入れ替えて、カバンに戻した。
 今は化粧ポーチの中に納まっている。

 なぜ急に、元に戻したのか。
 それは。
 ハハの希望に添いたくても添えない今の自分に対する、お詫びのしるしだったりする。
 ハハには伝わっていないけれど。
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by fastfoward.koga | 2006-03-05 20:46 | 一日一言