言霊の幸わう国

パウチ

 昨日の朝は、どうしてもその時間に送りたいメールがあったので、7時に目覚ましをかけた。
 ほんとうは休みなのでもっとゆっくり寝ててもよかったのだけれど、朝伝えなくては意味のないメールだったのだ。
 耳をすますと、雨音がしていた。
 寒い上に雨かとちょっと失望して、メールだけ送信したらまたうとうとと眠ってしまった。

 寒い1日だった。
 でも、昼過ぎには雨はやみ、空はみるみる青空に変わっていった。

 お天気の回復を喜びながら、建仁寺に向かった。
 風がびゅんびゅん吹いていた。
 靴を脱いだ足先は冷たくなっていたのに、ひなたに出て庭を眺めていたら、体全体に暖かさが急速に戻ってきた。

 どのくらいすわっていたのだろう。
 時間を気にすることなく、話をしていた。
 相手の話に耳を傾け、わたしは言葉を慎重に選んで答えた。
 時折、太陽が雲の隙間から顔を出したり、風が吹くたびにざわざわする木々の音に驚いたり、まぶしさに目を細めながら猛スピードで過ぎてゆく雲の流れを見た。
 
 やっと立ち上がったとき、きっと今五感で感じたことはこの庭の景色と一緒にパウチされて忘れないんだろうなと思った。
 そのことを相手に伝えようかと思ったけれど、やめた。
 きっと遠からず同じようなことを感じてくれていると思ったので。

 毎日という日常の中にある、ささやかな幸せ。
 これから、ときどき抽斗から取り出してはいつくしむ記憶。
 いろんなことを感じられる自分でよかったなと、思った。

 ただし、長く太陽の光を浴びすぎて、日焼けした頬がピリピリ痛むのが余計だった。
 春の日差しをあなどってはいけない。
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by fastfoward.koga | 2006-03-31 17:52 | 一日一言