言霊の幸わう国

あぶなっかしいこと

 今、うちの家をぐるりと足場が囲んでいる。
 外装を直してもらうためのものなのだけれど、ちょうど2階の部屋のベランダからいい位置にあり、はずされるまでに1度歩いてみようと思っていた。

 たぶんもう、見ることのない場所からの景色。
 いつもと角度や高さが違うから、想像するだけできもちがうずうずした。

 もう日付がかわるかというひっそりした暗闇の中、スニーカーを履いて、ベランダを越えた。
 しっかりしているとわかっていても、ときどき立ち止まると大きく揺れているような気がして、どこかを掴んでいないと不安だった。

 見たくて見たくて仕方なかった景色は、やっぱりいつもより開放的だった。
 足場がなかったら、見ることのできないもの。
 そう思うと、胸の中からふわっと思い出すものがあった。

 夜、うちを抜け出したときのこと。
 ひとりで夜風に当たりたいとか、雨に降られてみたいとか、すきな人に会いに行ったり。
 窓から抜け出した理由はさまざま。
 今日はその、どの日にも感じていた空気をまた感じた。
 肌が、思い出した。

 窓から抜け出すなんてこと、もう何年もしていない。
 もうこっそり抜け出さなくても、親からお咎めを受けることもなくなったから。
 でも、久しぶりにやってもると、たまにはいいもんだと思った。
 
 これを書き終えたら、もう1回、窓から抜け出してベランダを乗り越えよう。
 ちょっとあぶなっかしいことをするのは、いくつになってもおもしろい。
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by fastfoward.koga | 2006-04-06 00:25 | 一日一言