言霊の幸わう国

あぶなっかしいこと

 今、うちの家をぐるりと足場が囲んでいる。
 外装を直してもらうためのものなのだけれど、ちょうど2階の部屋のベランダからいい位置にあり、はずされるまでに1度歩いてみようと思っていた。

 たぶんもう、見ることのない場所からの景色。
 いつもと角度や高さが違うから、想像するだけできもちがうずうずした。

 もう日付がかわるかというひっそりした暗闇の中、スニーカーを履いて、ベランダを越えた。
 しっかりしているとわかっていても、ときどき立ち止まると大きく揺れているような気がして、どこかを掴んでいないと不安だった。

 見たくて見たくて仕方なかった景色は、やっぱりいつもより開放的だった。
 足場がなかったら、見ることのできないもの。
 そう思うと、胸の中からふわっと思い出すものがあった。

 夜、うちを抜け出したときのこと。
 ひとりで夜風に当たりたいとか、雨に降られてみたいとか、すきな人に会いに行ったり。
 窓から抜け出した理由はさまざま。
 今日はその、どの日にも感じていた空気をまた感じた。
 肌が、思い出した。

 窓から抜け出すなんてこと、もう何年もしていない。
 もうこっそり抜け出さなくても、親からお咎めを受けることもなくなったから。
 でも、久しぶりにやってもると、たまにはいいもんだと思った。
 
 これを書き終えたら、もう1回、窓から抜け出してベランダを乗り越えよう。
 ちょっとあぶなっかしいことをするのは、いくつになってもおもしろい。
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by fastfoward.koga | 2006-04-06 00:25 | 一日一言 | Comments(8)
Commented by mack at 2006-04-06 00:35 x
■あはは、意外とお転婆だすなー。
Commented by fastfoward.koga at 2006-04-06 00:39
mackさんへ
わたしよりも還暦を迎えて数年たっているハハのほうがすごいです。
この機会に! と勇んでベランダを乗り越え、普段掃除できない出窓の外側を拭いてまわったようです(笑)。
この親にして、この子あり。
Commented by rabbitK at 2006-04-06 07:22
私も、その昔、彼に夜中に逢うために窓から塀へとわたって外へ出ました。
そしたら、ポケットに入れてたチョコレートがけビスケットがポトン。
「あ。やべっ・・・」
気付かれないことをひたすら祈ってましたが、
翌日帰ると、すでに部屋中親に調べられており、
ちゃんと修羅場が待ってました。
Commented by 旅じたく at 2006-04-06 08:58 x
のび太びように窓から空に飛べたらいいですね。わたしは平らな屋根のある家に憧れています。あとはノルウェイの森の終盤、火事を眺めながら僕とみどりがビールを飲むのはベランダでしたっけね。ああいい場所があるといいなと思います。
写真はアップされないんですか?
Commented by mamepanapollo at 2006-04-06 18:17
良いですね。
窓から抜け出す。
抜け出した先に自由がありそうで。
学生時代は、そんな風に思ってました。

Commented by fastfoward.koga at 2006-04-06 23:51
rabibbkさん、こんばんは。
うちを抜け出すときは、身軽なかっこうで行かなくちゃ(笑)。
でもそれも今となっては、いい思い出ですか?
わたしは、たぶん親には気づかれてないと思うんですけどね・・・。
Commented by fastfoward.koga at 2006-04-06 23:54
旅じたくさんへ
ありましたね。「ノルウェイの森」で、そんなシーン。
ベランダが充実しているというのは、いいですね。
そんなところにわたしも住みたいです。

写真は、どうしようかと思ったんですが、シートがかぶされていたり、夜中だったのでやめました。
そのかわり、しっかりと胸の中でシャッターを押しました。
Commented by fastfoward.koga at 2006-04-06 23:55
mamepanapolloさん、こんばんは。
言われて、気づきました!
わたしが感じた空気は「自由」だったのですね。
ありがとうございます。