言霊の幸わう国

水に浮かぶ

 最近、お風呂場にいる時間が長くなった。
 もともとあまり長風呂はすきではないので、長くなったと言ってもしれているのだけれど、お湯に浸かってぼんやりする時間が増えた。

 わたしはどんなに暑い夏でも、お湯に浸かる。
 お湯に浸かって、いろんなことを考える。
 仕事の段取り、その月のスケジュール、今日の自分の言動、ブログに書くこと。
 ともだちの披露宴のスピーチを考えたのもお風呂場だった。
 きっと余計なものがまわりにないから、考えがまとまりやすいのだと思う。

 昔から、水がすきだった。
 小さいころに水道の水を出しっぱなしにして、流れる手に水を浸して遊んでいてハハに叱られたことがある。
 水遊びがとにかく楽しくて仕方なかった、ということを体のどこかが覚えている。

 今日、浴槽に頭をひっかけてふっと天井を見たとき、懐かしい感覚が湧き出た。
 しばらくはそれがなんだったのかわからなかったけれど、少ししたら思い出した。

 小さいころ、小学校にあがる前に、スイミングスクールに通っていた。
 自分から行きたいと言ったのだ。
 平泳ぎ、クロール、背泳ぎ、バタフライの足まで、そこで教えてもらった。
 今でもプールの消毒液の匂いと、誰かのバタ足の反響する音がリアルに蘇る。
 水が肌に触れる感覚は、特に二の腕あたりで強く覚えている。
 不思議なものだ。

 わたしが今日思い出したのは、そのプールの天井だった。
 背泳ぎで泳いでいたときに、プールサイドに手をつくまで見つめていた天井。
 
 ふとしたときに、水に浮かびたくなることがある。
 泳ぐのではなく、仰向けになってただ水に浮いていたい、と。
 でも実際問題、そんなことができるところは少ない。
 天井が高くて、空が見えて、人が少なくて、敷居が低くて、泳がないことを気にしなくてもいいプール。
 ・・・あるとは思えない。

 今、無性に、水に浮かんでプールの天井を見ていたあの瞬間に戻りたい。
 風呂場じゃ、無にはなれないのだ。
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by fastfoward.koga | 2006-04-14 23:01 | 一日一言