言霊の幸わう国

破壊と創造

 今日は早起きして、ハハと叔母と3人で出かけていた。
 夕方叔母を送り届けてうちに着くと、ハハが下の部屋で叫んだ。
「明日のパンがない!」と。
 部屋着に着替えていたけれど、わたしは「行ってこぉか?」と声をかけた。

 最近は、あまり自分の部屋にいたくない。
 しんどいとか息苦しいとか鬱々とするとかいうことではないのだけれど、外でもできることなら部屋から出たいなと思うのだ。
 本を読んだり、手紙を書いたり、音楽を聴いたり、パソコンの前にすわるなら、うちじゃなくてもできるから。

 だから、散歩がてらに近くのスーパーマーケットまで出かけた。
 ちょっと内にあるものを外に発散させることも必要かな、と。

 先月は12冊、今月は7冊。
 読んだ本の数だ。
 そしてさっきスーパーマーケットの中の本屋に行って、また2冊購入。
 一向に、飽きたり懲りる様子はない。
 本の神様がそばにいる、と最近よく言っているけれど、ただ貪るように本を読んでいるような気はしない。
 吸い込まれるように本屋にゆき、そこで手にした本を自分のものにして、言葉を辿っているだけだ。そこにはがむしゃらな感じはない。

 なにかが溢れ出るのは、吸収したものがあるからだろう。
 自分ではそれが始まったのがいつなのか、ちゃんとわかっている。
 あの日、自分が京都に帰ってこられなくてもいいと思ったときからだ。
 やっぱり、わたしはあの日を境に違うものになった。

 ほんの少し湿気た空気を肌に感じながら、てくてくと歩いた。
 そうやって外の空気に触れたら、絡まった糸がほぐれるような感覚が感じられるかなと思ったけれど、結局は歩きながら、書くことばかり考えていた。

 今は、伝えたいことがあることよりも、伝えたい人がいることのほうが自分にとってはすごくすごく貴重で大切だと思える。
 誰かの言葉で、涙が出る。理由なんて、わからない。
 この思いを、わたしはいつもより意味を広げて恋と呼ぼう。
 どんな言葉でも言い尽くせない、一般的には切ないと言われるこの思いは、その形にしないと収まりがつかない。

 感じるよりも先に溢れた涙は、下を向いたら机の上に落ちた。
 ちょうど目の幅と同じところに。
 壊れたな。完全に、壊れた。

 わたしが壊れるなんて!
 でも、そんな自分をおもしろいと思う。
 なにを隠そう、わたしはずっと破壊のあとにあるのは創造と信じてきたのだ。
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by fastfoward.koga | 2006-06-10 19:32 | 一日一言