言霊の幸わう国

「僕が旅に出る理由は」

 手紙の次は、旅。
 ここ2、3日、どこへ行こうか、そんなことばかり考えている。

 誰かが旅に出たと聞くと、負けじと心の中で旅欲がふつふつと動き出す。
 その熱はもともといつも適温で保たれているので、なにかのきっかけで熱を上げ、火山が噴火するように湧き出てくるのだ。
 それは、とても熱くてどろどろとした欲。

 だから、この間買った雑誌と本が旅にまつわるものだったのは、本の神様が呼び寄せてくれたものでではない。
 わたしが自分の中にある明確な欲から、選び取ったものだ。

 昼間ベッドに寝転んでいても、仕事をしていても、会社の子たちと飲んでいても、中途半端に飲んで頭が痛いと眠りにつくときも、旅の行き先を考えている。

 わたしは目的がすきだ。
 たまに「理由なんていらない」と思ったり、書いたりすることもあるけれど、基本的には目的があって前に進むことが心地よいと感じている。
 目的があるということは、それを達成できるかできないかという判定がくっついてくる。
 わたしには、いつでもどこでも飛び越えるべきバーを用意することが必要なのだ。
 たとえ、それが時には自分の首を絞めてしまうことになったとしても。

 今回の旅の目的は、自分がひとりだということを実感すること。
 ひとりで行って、ひとりで帰ってくる。
 旅先の町の中で、新しい自分を取りまく世界の中で、立ち止まってみるつもりだ。
 自分が、ひとりでどんなことができるのか確かめてみたい。
 見て、聴いて、感じて、思って、考えることに、どんな人のフィルターも通さない旅。
 そんな旅をしてみようと思っている。

 梅雨が明ける前に、旅に出る。
 短い旅だけど、きっといろんなことを考える自分が想像できる。
 もちろん、いつものようにわくわくする。
 でもそれよりも、今は固い決意のようなしっかり、どっしりしたものを胸に感じる。
 それが、力強く背中を押してくれる(胸が背中を押すとは。なんてこった)。

 みなさんは、この夏、旅に出ます?
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by fastfoward.koga | 2006-06-13 12:10 | 往復書簡