言霊の幸わう国

お腹いっぱいの愛情

 わたしの職場には、80数名のパート社員がいる。
 異動のお知らせをしてから4日間。全員に挨拶ができるようにと、がんばった。
 でも、できない人もいた。やっぱり80人は多いなと思った。

 泣かないようにと、あえてにじむマスカラをつけていった。
 でも、夕方までもたなかった。
 夕方は泣いては泣きやみ、泣いては泣きやみをくり返した。
 自分でもこんなに泣けるとは思ってもいなかったし、こんなに泣かれるとも思っていなかった。

 ふと、自分がやってきた4年2ヶ月を振り返った。
 やり残しはあっても、もういいやと思った。
 これだけの思いを受け止めたら、もういいやと思った。

 送別会の店を出たあと、誰かが言った。「愛されてますねー」と。
 冗談じゃなく、ほんとうにそう思う。
 自分は愛されてたなと思う。

 会社を出て落ち着いた涙は、そのまま送別会もおとなしく引っ込んでいた。
 でも最寄り駅に着いて、長い長い階段を降りていたら、ふっと涙が滲み出した。
 原付置き場に着くまで、「泣かない。泣かない」と呪文のようにくり返した。
 泣きながら歩くなんてみっともないから、必死にこらえた。
 原付にまたがってからは何度も何度も涙をふいて、アクセルを握った。ばっかみたい。

 泣くのは今日まで。
 あとのことは知らない。
 別れ際、チーフの子には「質問はひとり2回まで。それ以上は答えない」と宣言した。
 あとで2回は多いくらいだと思い直した。

 愛されたことを当たり前とせず、幸せに思い、感謝しながら、わたしは次へ行かなくては。
 思いに引きずられていては、いけないのだ。
 もう、ほんとうに、今日で充分。
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by fastfoward.koga | 2006-06-30 22:26 | 一日一言